事件発覚への警戒心が次第に薄れ、隠蔽工作ずさんに 9人殺害の手口と全容判明

座間9遺体

 神奈川県座間市のアパートで2カ月間に若い男女9人を次々と標的にし、自宅アパートに誘い込んでいた白石隆浩容疑者(27)。これまでの捜査で、9人の被害者との接点や殺害方法などの全容が明らかになり、犯行手口の共通点も見えてきた。一方で、その過程では事件が発覚することへの警戒心が次第に薄れていった様子もうかがえる。残忍な行為を繰り返した白石容疑者の心に、何が起きていたのか。

共通点

 白石容疑者は被害者らとツイッターで知り合い、「会ったその日に殺害した」と供述。警視庁が被害者の交通系ICカードや防犯カメラ、携帯電話の記録などから9人の最後の足取りを追跡したところ、多くの被害者が現場アパートに入ってから1日以内に、家族や知人との交信が途絶えていたことが判明した。

 殺害方法も一貫している。被害者を気絶させた上で箱に座らせ、ロフトのはしごに結びつけたロープで首をつるす。ロープなどの道具を、定期的に購入していた記録も確認された。

 「自殺を手伝う」。白石容疑者がツイッターで被害者らを誘い出したきっかけはいずれもそんな言葉だったが、その後のやりとりで具体的な殺害依頼などはなく、「生きていく」と意思表示した被害者も複数いた。白石容疑者は犯行の際、全員が「抵抗した」と供述。殺害後、所持金を奪う行為も共通していた。

変化

 一方で、白石容疑者の行動には変化もみられる。最初に殺害されたとみられる女性2人について、白石容疑者は「捜索が打ち切られるよう、携帯電話を置いてくるよう指示した」と供述。2人の携帯は小田急線片瀬江ノ島駅とその周辺で見つかり、3人目に殺害されたとみられる男性も、現場から離れた駅付近のコインロッカーに携帯を遺留していた。

 これに対し、9月に殺害されたとみられる女子高生2人は、携帯の位置情報が座間市のアパート周辺で途絶えていた。白石容疑者はこれらの携帯について「壊して捨てた」と供述。ところが、最後に殺害されたとみられる女性2人の携帯はそのままアパートに残されていた。捜査関係者は「犯行に慣れ、次第に隠蔽工作がずさんになっていったように見える」と分析する。

 事件が発覚した10月末。警視庁の捜査員が訪れた白石容疑者の部屋は、玄関先まで遺体の入った箱が置かれていた。9人を殺害した男の心の闇の解明は、今後も続く。