再発防止で「監視強化」も効果は未知数 SNSのみの接点、捜索の壁に 

座間9遺体
白石隆浩容疑者

 神奈川県座間市で9遺体が見つかった事件では、被害者全員の行方不明者届が出されていたにも関わらず、犯人との接点が匿名性の高いSNS(会員制交流サイト)上のやり取りだけだったことが捜索の最大の壁となった。こうした中、警察庁はSNS上での自殺勧誘の書き込みの監視を強化する方針を打ち出したものの、実効性について不安視する声も上がっている。

 逮捕された白石隆浩容疑者(27)はツイッター上で、自殺志願を投稿した被害者らに「一緒に死のう」などと持ちかけていた。周囲にはそのやり取りが見えないまま、約2カ月間に15~26歳の男女9人が殺害された。

 各県警は携帯電話の位置情報や防犯カメラの解析などから被害者の足取りを追ったが、不明者捜索ではツイッター上のやり取りを含めた個人情報までは入手できず、白石容疑者にたどり着くことはできなかった。結局、最後に殺害されたとされる東京都八王子市の女性(23)のアカウントに兄がログインできたことで事件は発覚したが、この偶然がなければ、さらに凶行が続いた恐れもあった。

 これまで警察庁は、SNS上に投稿されたわいせつ画像や児童ポルノなどは「違法情報」として警察への通報・削除の対象としてきたが、自殺を勧誘するような書き込みは投稿自体を罪に問えないため、「有害情報」に分類してきた。

 再発防止策では、サイバーパトロールを委託する民間団体に来月から自殺勧誘の書き込み対策に特化した人員を配置。常時2人態勢で自殺勧誘の書き込みを監視し、SNS事業者などへの削除依頼を徹底する。また、自殺予告の日時や場所、意思などが具体的な場合は警察官を臨場させるなど自殺を思いとどまらせる活動にも従前同様、積極的に取り組む。

 ただ、インターネット上の膨大な情報を全て把握するのは容易ではなく、ある警察幹部は「ツイッターなどメジャーなSNSの管理や規制が強化されても、より目が届きにくいアンダーグラウンドな自殺サイトなどに利用者が流れる恐れは消えない」と危惧を打ち明けている。