殺人容疑で20日に再逮捕 残った謎解明へ 

座間9遺体
座間アパートに9遺体事件で逮捕された白石隆浩容疑者

 神奈川県座間市のアパートから9人の切断遺体が見つかった事件で、警視庁高尾署捜査本部は20日に、白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=を東京都八王子市の田村愛子さん(23)に対する殺人容疑で再逮捕する方針だ。捜査本部は凶器や被害者の所持品など100点以上の証拠品を押収。「9人を殺害、遺棄した」とする供述の裏付けを進めている。ただ、具体的な殺害時期や手口など未解明な点も多い上、犯行に至った動機も判然としていない。犯罪史上でも特異な事件の全容解明に向けた捜査は、いまだ緒に就いたばかりだ。

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 調べでは、白石容疑者が被害者の大半とツイッター上で知り合っていたことが判明。複数アカウントを使い分け、自殺願望などを書き込んでいた女性に巧みに声をかけ、自宅に誘い出していたとされる。捜査本部は白石容疑者のスマートフォンの解析を進めている。

 ただ、白石容疑者は「スマホの(被害者とのやり取りの)履歴は削除した」と供述。一部の被害者の携帯電話も破壊しており、白石容疑者との間で行われたやり取りの詳細は不明だ。

 また、殺害の手口について「酒や睡眠薬を飲ませた後、アパートのロフトにかけたロープで首をつって殺害した」と説明しているが、遺体の損傷が激しく、詳細な死因の特定は難航しているのが現状だ。

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 また、9人の正確な殺害時期も分かっていない。

 白石容疑者は8月22日に現場のアパートに入居。「同時期に1人目の女性を殺害し、女性を捜しに来た男性も殺害した」と供述している。実際に、白石容疑者が同月13日にこの男女と3人で会っていた事実や、入居直前の19日にこの女性と一緒にアパートの仮契約に不動産業者を訪れていたことが判明している。女性は20日ごろ、男性は29日ごろに消息が途絶えており、供述と一致する。

 最後に被害に遭ったとみられる田村さんについても、白石容疑者は待ち合わせ場所などを詳細に供述。田村さんが失踪した10月23日、現場アパートの最寄り駅で2人が一緒にいる姿も確認されている。

 一方、残る6人については「殺害時期や順番は覚えていない」と説明。司法解剖でも大まかな死亡時期しか判明しておらず、捜査本部が解明を急いでいる。

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 白石容疑者は動機を「金銭などの目的があった」と供述。51万円を受け取った1人目の被害者とされる女性を含め、「全員から金銭を奪った」としている。

 しかし被害者のうち4人は10代の学生で、奪った金額が「数百円」の被害者もいたという。白石容疑者は奪った金銭を犯行道具の購入や生活費に充てていたとみられ、逮捕時の銀行口座の残高は4千円だった。こうした状況からは、金銭とは別の、より強い動機があった疑いも浮上する。

 また、白石容疑者は事件前、インターネットで、殺人罪より罪が軽くなる「嘱託殺人」「自殺幇助(ほうじょ)」といった用語や、死刑になる殺害人数などを検索。被害者の携帯電話や所持品の処分など証拠隠滅を図った形跡もあり、捜査関係者は「当初は死刑を恐れていたのではないか」とみる。

 一方、実際には多数を殺害した上、「自殺を本当に望む被害者や、殺害に同意した被害者はいなかった」などと話し、嘱託殺人や自殺幇助を否定。事前の検索行為と犯行内容や供述が矛盾しており、不可解だ。

 白石容疑者は何をきっかけに犯行に至り、繰り返したのか-。捜査本部には、外形的な犯行様態とともに、白石容疑者の“内面”の解明も課せられている。