現場に踏み込んだ捜査員「歴史的な事件と」 逮捕から10日 神奈川の被害者3人

座間9遺体
神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかった事件の被害者で、同県横須賀市の西中匠吾さん(20)=ツイッターから

 神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件は、死体遺棄容疑で無職、白石隆浩容疑者(27)が逮捕されてから10日が経過した。被害者は神奈川県内から最多の3人となり、県民の間に衝撃が広がっている。白石容疑者は、SNS(会員制交流サイト)のツイッターなどを駆使して自殺願望をほのめかしていた女性ら9人と連絡を取り、誘い出した自宅で殺害して、遺棄を繰り返したと供述したという。浮かぶ猟奇性と計画性。突如殺害を始めた白石容疑者の“心の闇”は深い。

 玄関のクーラーボックスを指さし

 「この中です」。10月30日午後4時半ごろ、閑静な住宅街にある2階建てアパートの部屋を訪れた警視庁の捜査員に、行方不明になっていた東京都八王子市の田村愛子さん(23)の所在を聞かれ、白石容疑者は玄関先のクーラーボックスを指さしたという。

 ふたを開けた捜査員の目に飛び込んできたのは、切断された2つの頭部。ワンルームの室内に並べられていた7つの箱からは計9人分の頭部と240本の骨が見つかった。「歴史的な事件だ」。経験豊富な捜査員も思わず息をのんだ。

 白石容疑者は「引っ越してきてから殺害を始め、浴室で切断した。ばれると思い、捨てられなかった」と説明した。箱の中には、ネコのトイレ用の砂。台所などからは、包丁やのこぎり、はさみなどが多数見つかった。

 週に1人のペース

 アパートを管理する不動産会社関係者によると、白石容疑者が部屋を内覧したのは8月18日。「とにかく早く」と契約を急ぎ、同22日には入居した。以降、事件発覚の10月30日までわずか2カ月余りに、平均すると週に1人のペースで9人もの命を奪った計算となる。

 捜査関係者などによると、動機について「殺すのが目的だった」「乱暴目的、金を奪う狙いもあった」と話す白石容疑者。「ロープで首をつって殺害した」などと取り調べにはきはきと答えているというが、異様な事件がせきを切ったように突如始まったきっかけは明確ではない。

 風俗店のスカウトをしていた2月、売春させると知りながら風俗店に女性を紹介したとして、職業安定法違反容疑で茨城県警に逮捕され、5月に執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 6月ごろには「生きていても意味がない」と父親に漏らしていた。だが、「何がこのような凶悪な事件に駆り立てたのか。謎が多い」と捜査関係者は指摘する。

 捜査は難航か

 警視庁は9人全員について、殺人容疑での立件を目指すとみられるが、難しい捜査が予想される。遺体は一部が捨てられていたり、腐敗が進んでいたりするため、司法解剖でも死因は特定できなかったからだ。

 DNA型鑑定などによって、本県在住者では、厚木市の会社員、三浦瑞季(みずき)さん(21)と、その知人で横須賀市の介護職、西中匠吾(しょうご)さん(20)、横浜市都筑区のアルバイト、丸山一美さん(25)が被害にあっていたことが確認された。9人と白石容疑者との通信記録の解析などから、被害者と白石容疑者との詳しい関係解明が進められているとみられている。

 白石容疑者は、ツイッターで「首吊(つ)り士」など複数のアカウントを使い分け、自殺願望のある女性に「安楽死したい人の手伝いをしている」などとメッセージを送り続けて接触したが、逮捕後には「ツイッターで自分も自殺願望があるとつぶやいたが、その気はなかった」と明かした。

 捜査幹部は「あの子たちの人生はこれからだったんだ」と怒りを込めた。