「優しく友達思い」 死亡確認の田村愛子さん 「約束したのに…」兄の願い届かず

座間9人遺体
神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかった事件の被害者で東京都八王子市の田村愛子さん(23)=小学校の卒業アルバムから

 「もし亡くなっているなら、エビの空揚げを一緒に作って食べる約束が達成できない…」。妹の生存を信じ、そうツイッターに書き込んでいた兄の願いは無情にも打ち砕かれた。神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件は6日、東京都八王子市の田村愛子さん(23)の死亡が確認された。失踪した田村さんの足取りを、兄が追跡したことで発覚した今回の事件。白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=のさらなる犯行を防いだともいえる田村さんの悲報に、友人らは「悲しくてやりきれない」と唇をかんだ。

ウサギいとおしそうに

 田村さんが母親と暮らした山梨県甲州市の小学校の当時の友人らによると、田村さんは4年生時に同校に転入。「おとなしくて誰にでも優しい」と評判だった。小学校の卒業アルバムには、ウサギをいとおしそうに抱いたり、はにかみながらバドミントンのラケットを持ったりした写真が残されている。

 当時、一緒に飼育委員を務めた友人女性(23)によると、田村さんはお気に入りのキャラクターが印刷された紙を大切にしており、「お母さんが作ってくれた」と話していた。「かわいいね」と伝えると、翌日、「皆の分も印刷してもらったよ」と封筒に入れて渡してくれた。友達を思う優しさがうれしかったという。

 運動も得意で、学校のバドミントンクラブのほか、地域のバレーボールクラブにも所属。運動会ではリレー選手となり、鼓笛行進では副指揮も務めた。

 しかし、中学校に進学すると、いつしか姿を見なくなったという。友人女性は「少人数だった小学校では打ち解けられていたけど、人数が増えた中学校では戸惑い、居づらくなってしまったのかもしれない。悩みを周囲に話さない子だった。何か気づいてあげられたら変わっていたのかもしれない」と悔やんだ。

警察に届け発覚

 今回の事件は、田村さんと連絡が取れなくなった兄が田村さんのツイッターにログインしたところ、田村さんが自殺願望を書き込んでいたこと、何者か=白石容疑者と後に判明=に「一緒に自殺しよう」などと誘い出されていたことなどが分かり、警察当局に届け出たことで発覚した。

 ツイッターの兄の書き込みによると、田村さんは中学1年の時に“学校のトラブル”があり、それ以降は自宅に閉じこもっていた。6月に母親が死去したことにも責任を感じた様子だったという。精神が不安定になり、9月上旬、職員付きのグループホームに入居。しかし他の入居者の物音におびえたり、兄に頻繁に「寂しい」と連絡したりしていた。入居約1週間後には、ツイッター上で自殺相手を募る投稿をした。

 捜査関係者や兄の書き込みによると、こうした状況にあった田村さんに白石容疑者がツイッターで接触。10月23日、田村さんは白石容疑者と会い、一緒にいる姿が駅の防犯カメラで確認された後、所在不明となっていた。グループホームの自室には遺書があったという。

「やりきれない」

 友人女性は「本当に自殺するために白石容疑者に会いに行ったのか。未練があり、話を聞いてほしくて、救いを求めに行ったのに殺されてしまったのだとしたら、やりきれない」と顔を伏せた。

 別の友人女性も「白石容疑者と出会わなければ、いずれ立ち直って前向きになり、死なずに済んだかもしれない。支えられる人が近くにいなかったのかと考えると悲しい」と話した。

 一方、田村さんの遺族は「大切な家族をこのような形で亡くした心中を察していただきたい」などとするコメントを出した。