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【環球異見・トランプ氏のメディア戦争】記者は国民の敵にあらず ニューヨーク・タイムズ(米国)

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【環球異見・トランプ氏のメディア戦争】
記者は国民の敵にあらず ニューヨーク・タイムズ(米国)

報道の自由の必要性を訴え、トランプ氏に反論する社説を掲載した8月16日付のニューヨーク・タイムズ(AP) 報道の自由の必要性を訴え、トランプ氏に反論する社説を掲載した8月16日付のニューヨーク・タイムズ(AP)

 自身に批判的なメディアを「フェイク(偽)ニュース」と攻撃するトランプ米大統領に対し、全米約350紙の新聞社が8月16日、報道の自由の必要性を訴え、トランプ氏に反論する社説を一斉に掲載した。各紙は「メディアは国民の敵ではない」などと訴えたが、独立性や有効性の観点から同調しない社も少なくなかった。一方、仏紙は、トランプ氏は有権者の高まるメディア不信につけ込んでいると指摘した。

ニューヨーク・タイムズ(米国) 記者は国民の敵にあらず

 トランプ氏に抗議するため、全米の新聞社に社説掲載を呼びかけた米紙ボストン・グローブ。8月15日の電子版で「記者は敵ではない」と題した社説を載せ、「2世紀以上にわたって、米国の根本的な理念でありつづけた報道の自由が深刻な脅威にさらされている」と訴えた。

 同紙は「トランプ氏の政策の一貫した柱は、報道の自由に対する持続的な攻撃だ。記者は米国人の仲間ではなく、むしろ『米国人の敵』と分類される。報道の自由への容赦なき攻撃は危険な結果をもたらしている」と指摘。トランプ氏の姿勢が「記者が内なる敵とみなされる可能性があるトルコやロシア、中国の独裁者に危険な信号を送っている」とし、報道統制が敷かれる国への影響も危惧した。

 また、米国で党派を超えて広く共有されてきた報道の重要性が揺らいでいるとし、トランプ氏の「メディアは国民の敵」との見方に共和党支持層の48%が支持し、全体でも29%が支持という調査結果を紹介。トランプ氏が自身の支持者を扇動する手法はロシアやトルコの独裁主義者にもみられたとし、「情報の提供を抑制する検閲は必要ない」と強調した。

 グローブ紙の趣旨に賛同した大手紙の一つ、ニューヨーク・タイムズは16日の社説の冒頭で、第3代米大統領のトーマス・ジェファソンの「新聞のない政府と政府のない新聞。私は躊(ちゅう)躇(ちょ)せずに後者を望む」との言葉を引用し、「2018年は(新聞は)最も厳しい攻撃を政権から受けている」と述べた。

 誤った記事に対する批判は「全面的に正しい」と指摘したうえで、「気にくわない真実をフェイクニュースと主張し、記者を国民の敵ととがめるのは民主主義にとって危険だ」と強調。また、トランプ氏からの攻撃によって特に経営規模の小さい地方紙が脅かされると危機感を示し、約70紙の社説の一部を紹介したうえで、購読を呼びかけるなど異例の対応をとった。(ニューヨーク 上塚真由)

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