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米CO2削減基準緩和 新規制案 石炭火力回帰も

 【ワシントン=黒瀬悦成】米環境保護局(EPA)は21日、石炭火力発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)の削減基準を緩和する新たな排出規制案を公表した。削減の目標などを明確にせず、オバマ前政権が策定した規制である「クリーン・パワー・プラン」よりも排出が増える見込みで、石炭業界や化石燃料を産出する州に配慮した内容となった。

 新規制案は、削減目標を各州の判断に任せる一方、石炭火力発電所の燃焼効率の向上につながる新技術の導入促進などを通じて排出削減に結びつけるとした。EPAは一般からの意見聴取などを経て、来年初頭にも導入する考えだ。

 オバマ前政権の規制は、米国内の火力発電所から排出されるCO2を2030年までに05年比で32%削減すると定めたが、EPAは新規制案では前政権の規制と同等以上の温室効果ガスの削減が期待できると強調。また、新規制の下で火力発電業界全体で年間4億ドル(約440億円)規模の負担が軽減される見通しだとしている。

 オバマ政権下では、規制を受けて風力や太陽発電などのクリーンエネルギーの導入が進んだが、新たな規制が導入されれば石炭火力発電などへの回帰が進む可能性もある。

 トランプ大統領は21日、石炭資源の豊富な東部ウェストバージニア州での政治集会で演説し、前政権の規制を「愚かな規制」と断じ、新規制案は「石炭火力発電の労働者を助ける」と強調。新たな環境規制は、11月の中間選挙や20年大統領選での再選に向け、自身の支持基盤やエネルギー業界をつなぎとめる思惑もあるとみられる。

 一方で、新規制案が導入されれば環境破壊や住民の健康被害が広がる恐れも指摘されるため、南部バージニア州や東部ニューヨーク州の司法長官が実施の差し止めを求めてEPAを提訴する動きを見せている。

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