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【環球異見 米韓合同軍事演習中止】「一方的譲歩」を憂慮 米WSJ紙  

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【環球異見 米韓合同軍事演習中止】
「一方的譲歩」を憂慮 米WSJ紙  

米韓合同軍事演習で上陸訓練を行う米韓の海兵隊員=2016年3月12日、韓国・浦項(AP) 米韓合同軍事演習で上陸訓練を行う米韓の海兵隊員=2016年3月12日、韓国・浦項(AP)

 8月に行われる予定だった米韓合同軍事演習の中止が決まった。今月12日の米朝首脳会談後にトランプ米大統領が、北朝鮮と対話中は演習を行わないと表明したことを受けた措置。米紙は演習中止に対する専門家らの懸念を伝え、中止を言い出したトランプ氏を批判。北朝鮮紙は対米交渉の進展に伴い、対米批判を控えている。中国紙は演習中止を歓迎し、在韓米軍撤退に期待感を示すなど肯定的にとらえている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(18日付)は「在韓米軍と核を引き換えるのか」と題した社説で、米韓の大規模合同軍事演習を中止すれば「即応能力が低下する」と危機感を示し、トランプ氏による米韓演習中止の申し出は「北朝鮮に対する一方的な譲歩だ」と批判した。

 社説は、「民主体制の同盟国とともに活動している在韓米軍は、テロ支援国家による違法な核兵器開発と同列ではない」と強調。北朝鮮が完全に核放棄して韓国への脅威がなくなれば、在韓米軍の規模や性格について再考する余地はあるものの、それまでは金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との核交渉で在韓米軍を取引の「勘定書」にしてはならないと訴えた。

 ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ジョシュ・ローギン氏は、米朝首脳会談での合意は中国がかねて提唱してきた、核・ミサイル実験と米韓演習を相互に凍結する「ダブル・フリーズ」に他ならないと一蹴し、「首脳会談の真の勝者は中国だ」と喝破した。

 米政策研究機関「ヘリテージ財団」創設者のエドウィン・フルナー氏もワシントン・タイムズ紙(19日付)への寄稿で、故ケネディ大統領の「自由(を守ること)のコストは常に高額だが、米国は常に払い続けてきた」との言葉を紹介した上で、「北朝鮮が(非核化の)意思を具体的な取り組みで示す前に軍事演習を中止するのは、平和を希求する方法としては間違っている」と断じた。

 一方、米政策研究機関「ブルッキングス研究所」のマイケル・オハンロン上級研究員はワシントン・ポスト紙(電子版)への寄稿で、トランプ氏が米韓演習を「挑発的」と述べたのは「過ちだった」としつつ、大規模演習の狙いは「戦力と(韓国を守る)決意の誇示」であり、要員の能力向上自体は複数の小規模訓練を分割して実施することでも確保できるとした。(ワシントン 黒瀬悦成)

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