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【南北会談】
「非核化は先代の遺訓」は北朝鮮のだましの常套句

5日、北朝鮮を訪れた韓国の特使団の手をにぎる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)(コリアメディア提供・共同) 5日、北朝鮮を訪れた韓国の特使団の手をにぎる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)(コリアメディア提供・共同)

「非核化目標は先代の遺訓だ」。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が韓国特使団との会談でこう発言したことから、文在寅(ムン・ジェイン)政権は、米朝対話も可能だと判断した。発言の真意はどこにあり、果たして核・ミサイル開発の放棄につながる可能性はあるのか。

 特使団を率い、金委員長と5日に会談した鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領府国家安保室長は「特に注目すべきこと」として「非核化の遺訓」発言を挙げ、金委員長が「遺訓に変わりがないことを明らかにした」と韓国帰還後の記者会見で強調した。

 文政権は、トランプ政権が対話の前提としてきた「朝鮮半島非核化の意思を明確にした」とみなし、南北首脳会談の環境が整ったとして合意に踏み切った。韓国側には画期的な“譲歩”だと映ったのだ。

 同じ言葉は金正日(ジョンイル)総書記も口にしている。2005年に訪朝した当時の鄭東泳(ドンヨン)統一相に「朝鮮半島の非核化は先代の遺訓であり、依然、有効だ」と述べた。それにもかかわらず、翌年には初の核実験を強行した。

 先代の金日成(イルソン)主席は1986年、平壌での国際会議で、全世界の非核化を求める声明を発表し、北朝鮮は「核兵器の実験・製造・備蓄・導入をしない」と宣言した。91年には、在韓米軍の戦術核兵器が撤去され、南北は「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」に合意した。その後も金主席は「われわれには核兵器を造る意思も能力もない」と何度も表明している。

 龍谷大学の李相哲教授は「金主席は韓国側の非核化に重点があった。『遺訓』はだましの常套(じょうとう)句で、金委員長は何ら新しいことを言っていない」と指摘する。

 韓国の世宗(セジョン)研究所の鄭成長(ソンジャン)統一戦略研究室長は、今回の南北合意を評価しつつも「金委員長は1月の『新年の辞』で指示したように核や弾道ミサイルの大量生産および実戦配備を推進するだろう」と分析。核プログラムの凍結を表明しても「完璧な検証は不可能だ」とし、「核廃棄への道は非常に困難だ」とみる。

 北朝鮮は「軍事的脅威が解消され、体制の安全が保証されれば、核を保有する理由がない」とも主張した。日韓の専門家の間では、北朝鮮が軍事的脅威として非難してきた米原子力空母や戦略爆撃機の朝鮮半島への展開と米韓合同軍事演習の中止、米国との平和協定締結を要求する布石との見方も上がっている。(ソウル 桜井紀雄)

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