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【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】
北の五輪参加ウラ合意か 文大統領、訪朝断らずに「6月危機」?
米国の専門家の間でささやかれる「6月危機説」は「デッドライン」に関する観測からで、これを裏付けるように米中央情報局(CIA)のポンペオ長官は先月下旬のワシントン市内での講演で「ほんの数カ月先に北朝鮮は米本土を攻撃可能になる」との認識を示している。
トランプ政権の米朝対話の条件はあくまでも「北朝鮮の核放棄」が前提。米国内の対話派の間では「核凍結」でも米朝対話も行うべきとの主張があるが、それでは過去の失敗を繰り返すことになる。このため米朝対話は極めてハードルが高く、米国を中心とした「最大限の圧力」が平昌五輪・パラリンピック後に再開するのは確実だ。
文在寅政権は今回、金与正氏らとの会談で核問題を一切、語らなかったが、南北首脳会談に関する米韓の調整ではこの点をどう説明するのか。また、北朝鮮の言いなりにみえる文政権の交渉能力を米国は簡単に信用しないだろう。
米朝協議が実現せず、米韓関係も悪化して朝鮮半島で軍事演習ができなくなった場合、米国は6月にどんな決定を行うのか。有力視されているのは海上封鎖だという。1962年のキューバ危機では米国がカリブ海で海上封鎖を実施、米ソの核戦争の危機をめぐる緊張が極限まで高まった。首脳会談で韓国が北朝鮮に取り込まれると、緊張緩和どころか朝鮮半島危機はかえって先鋭化する可能性もありそうなのである。(編集委員)