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【湯浅博の世界読解】中国にほかならない、米国の「中東シフト」を喜ぶのは

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【湯浅博の世界読解】
中国にほかならない、米国の「中東シフト」を喜ぶのは

 9日、パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の空爆で被害を受けたアパートから外を見るパレスチナ人男性(ロイター=共同)  9日、パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の空爆で被害を受けたアパートから外を見るパレスチナ人男性(ロイター=共同)

 トランプ米大統領が「在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転する」と発表したとき、これを政治的に喜ぶのは誰かを考えた。なにも、大使館を中心都市テルアビブから移転することに反対というわけではない。パレスチナの地にユダヤ人国家を建設することを理解した上で、なぜ、このタイミングでの決定なのかという疑問なのだ。

 東アジアではいま、北朝鮮が米国本土を狙う核とミサイル開発に血道をあげ、背後にいる中国は米国に代わって地域覇権を虎視眈々(たんたん)と狙う。トランプ政権はその中国に、対北圧力で依存せざるを得ない状況下にあり、これ以上、中東に紛争のタネをまいてリスクを負うときではない。

 早くも、イスラム原理主義組織ハマスが、「インティファーダ(反イスラエル闘争)をエスカレートさせる」と宣言している。いまはイラン包囲網を築くときであるのに、イスラム過激派にイスラエル攻撃の口実を与えてしまう。

 米国が再び中東地域に足を取られることになれば、米中枢同時テロ「9・11」の二の舞いになりかねない。この時のブッシュ政権は、中国を「対等な競争相手」と位置付けて米軍のアジアシフトを検討していた。しかし、9・11の発生は、アジアを見すえた「高烈度紛争への対処」から、中東での「テロとの戦い」にすべての軍事資源を投入せざるをえなかった。

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