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【ロンドンの甃】ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさん 巨匠を生んだ背景には日本人の魂、感性が

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【ロンドンの甃】
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさん 巨匠を生んだ背景には日本人の魂、感性が

ノーベル賞受賞のセレモニーであるいすの裏にサインするカズオ・イシグロ氏=6日、スウェーデンのストックホルム(AP) ノーベル賞受賞のセレモニーであるいすの裏にサインするカズオ・イシグロ氏=6日、スウェーデンのストックホルム(AP)

 ノーベル文学賞に決まった長崎県出身の日系英国人作家、カズオ・イシグロさんが10日の授賞式でメダルと賞状を受け取る。

 英国では「ノーベル文学賞にふさわしい受賞者」(BBC放送)と幅広い世代が祝福。5歳で北海油田開発のため英政府から招致された父親に連れられ移住。20代後半で処女作が成功して英国に帰化した。英文学で世界最高峰に輝いたのは懐深い英国の教育システムの賜物(たまもの)だ。

 「私の中にはいつも日本」「ものの見方や世界観の大部分は日本人」。受賞決定後、イシグロさんが強調した「祖国」とのつながりは、日本人にはうれしい。

 「永住すると思わなかったので、心にはいつか帰る祖国ニッポンがあった」。敬愛する祖父が送ってくれた『オバケのQ太郎』や雑誌『小学一年生』を通じてはるかなる祖国に思いをはせたという。渡英後30年間日本に戻らず、いつしか「私のニッポン」を創り上げた。母国語が英語となり、初期の作品が生まれた。

 日本人としてのルーツに誇りを持ち、両親の目を通して西欧社会を客観的に観察できた。「異邦人」として経験した心の葛藤や感情が創作の幅を広げた。巨匠の仲間入りを果たす背景に日本人の魂や感性があったに違いない。今後も日英の懸け橋になっていただきたいと願う。(岡部伸)

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