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【歴史戦】「世界遺産のような政府間会議設置を」 ユネスコ内でも記憶遺産登録制度のあり方に強い異論

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【歴史戦】
「世界遺産のような政府間会議設置を」 ユネスコ内でも記憶遺産登録制度のあり方に強い異論

18日、パリで産経新聞と会見するユネスコ国際諮問委員会のアルライシ議長(三井美奈撮影) 18日、パリで産経新聞と会見するユネスコ国際諮問委員会のアルライシ議長(三井美奈撮影)

 アルライシIAC議長は産経新聞とのインタビューで、記憶遺産審査を前に慰安婦問題の資料など「政治案件」の扱いで、ボコバ事務局長から「何の指示もない」と不満をのぞかせた。審査を統括する議長の発言で、ユネスコ内でも登録制度のあり方に異論が強いことが浮き彫りになった。

 アルライシ氏はIACの一員として、2015年、中国が申請した「南京大虐殺資料」の登録審査に参加した。犠牲者が「20万人以上」という記述について、事実関係を調べるすべがなかったと認めた。「この種の記述の判断には徹底した調査が必要だ。しかし、現在の審査制度では無理」と苦悩を語った。

 「IACに政治は分からない」とも述べた。公文書の専門家集団であるIACに、関係国の利害が対立する案件審査を一任すべきではないとの立場だ。18日に決まった改革も「IACが最終勧告を行う点は同じ」として、十分ではないとした。

 記憶遺産と異なり、ユネスコの「世界遺産」は諮問機関の審査を経て、加盟国で構成する委員会が登録を決定する。アルライシ氏は、「大多数の加盟国が記憶遺産審査への関与を希望している。時間はかかるだろうが、記憶遺産でも世界遺産のような政府間会議を設けるべき」と訴えた。

 透明性の欠如が指摘されてきた記憶遺産審査。内部でも不安が広がる中、慰安婦問題の資料が従来の制度を踏襲して登録されれば、ユネスコに大きな禍根を残すのは間違いない。(パリ 三井美奈)

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