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【矢板明夫の中国点描】毛沢東の孫の落選が語るもの… 習近平氏は軌道修正したのか

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【矢板明夫の中国点描】
毛沢東の孫の落選が語るもの… 習近平氏は軌道修正したのか

毛沢東と習近平国家主席があしらわれた中国の土産物。習氏は「建国の父」と並ぶ地位を築くことができるのか(ロイター) 毛沢東と習近平国家主席があしらわれた中国の土産物。習氏は「建国の父」と並ぶ地位を築くことができるのか(ロイター)

 新中国の建国の父、毛沢東は20代の時から共産革命に身を投じた。2番目の妻と長男、2人の弟を含む10人以上の家族が戦死、もしくは敵対勢力に殺害された。「自らの生涯だけではなく、家族の命までも党と国にささげた」。中国当局が毛を宣伝するとき、よくこの表現を使う。

 1976年に毛沢東が死去した直後、4番目の妻である江青が党内の権力闘争に敗れて失脚、娘とともに表舞台から消えた。中国ではロイヤルファミリーともいえる毛家の人々だが、実はその数は10人にも満たない。

 その中で毛沢東の男系唯一の孫、中国人民解放軍の少将、毛新宇氏が10月に開かれる共産党大会の党代表に選出されなかった。このことが党内で大きな波紋を広げている。「これまで毛沢東路線を突き進んできた習近平政権が、ついに軌道修正を始めたのか」と深読みする党関係者もいる。

 体重100キロ以上の巨体を揺らしながら笑顔でメディアに登場することが多い毛新宇氏は、自由奔放な言動でも知られる。子供が書いたような稚拙な書体ながら揮(き)毫(ごう)することが好きで、インターネットでもよく話題になる。

 毛新宇氏は毛沢東の次男、毛岸青氏と女性写真家の間に長男として生まれた。人民大学歴史学部を卒業後、中央党学校などを経て軍隊に入り、2003年に軍事科学院で博士号を取得した。博士論文のテーマは「毛沢東の戦略思想研究」だった。しかし、周辺関係者によれば、実は大の勉強嫌いで、論文は周りの者が代筆したという。

 筆者が北京に駐在していたとき、一度だけ毛新宇氏と食卓を囲んだことがある。大きな丸テーブルで席が離れていたこともあり、残念ながら直接質問するチャンスはなかった。ただ「毛沢東の誕生日を国民の祝日にすべきだ」といった持論を展開していたほか、目の前に出される食事を次々とうまそうにほおばっていたことが印象的だった。

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