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【湯浅博の世界読解】世界は「中国覇権」に耐えられるか 米トランプ政権の「閉じこもり体質」への不安

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【湯浅博の世界読解】
世界は「中国覇権」に耐えられるか 米トランプ政権の「閉じこもり体質」への不安

 トランプ米政権の半年を振り返って気になるのは、お騒がせな米メディアとの非難合戦やロシア疑惑の政局的スキャンダルではない。それ自体はスキャンダラスで耳目を引くが、厄介なのはそれによりそがれる米国の指導力や国力の疲弊の方にある。さらに、自由主義の旗を掲げて戦後の国際秩序をつくってきた米国が、自己都合によって国際舞台から退場し、全体主義の新興大国にその座を譲りかねないことである。

 それを象徴したやり取りが、6月にシンガポールで開催されたアジア安全保障対話(シャングリラ・ダイアローグ)であった。米国のマティス国防長官が忍び寄る中国の南シナ海侵略に警戒感を示したのに対し、会場から鋭い指摘がなされたのだ。

 「70年前、当時のアチソン国務長官は米国が主導する“秩序の創造”に立ち会ったと書いた。しかし、NATO(北大西洋条約機構)、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、パリ協定をめぐる出来事をみると、いまは、米国による“秩序の破壊”に立ち会っているのではないか」

 戦後秩序をつくった自由世界の旗手が、自らその旗をたたむのかという非難に聞こえる。これに対して思慮深いマティス長官は、英国のチャーチル首相の言葉を引いて「すべての選択肢を使い果たしたら、米国人は常に正しい軌道に入る」と応じた。

 政権内では、マティス長官を含む軍出身者の閣僚からなる伝統的な国際協調派と、ホワイトハウスにはびこる孤立主義的な側近グループとの確執が絶えない。マティス長官のシャングリラ発言は、トランプ外交がやがては「正しい軌道に入る」確信を述べたものだろう。

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