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【正論】「北朝鮮」カードと中国が最も嫌悪する「一つの中国」カードを駆使…「狡知」際立つトランプ対中外交 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

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【正論】
「北朝鮮」カードと中国が最も嫌悪する「一つの中国」カードを駆使…「狡知」際立つトランプ対中外交 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

夕食会で握手を交わすトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=6日、米フロリダ州パームビーチ(AP) 夕食会で握手を交わすトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=6日、米フロリダ州パームビーチ(AP)

≪挑戦者への不作為が危機招く≫

 台湾民進党の蔡氏は前総統の国民党の馬英九氏とは異なり、「92年コンセンサス」(九二共識)の存在を認めていない。共識は、1992年の中台香港協議の場において双方が一つの中国(一個中国)原則は守るものの、台湾側はその解釈は双方異なる(各自表述)とし、中国側は文字通りの一個中国を堅持するというものだといわれる。共識はその存在自体が怪しく多分に幻のものだが、中国はこれこそが中台関係を律する政治的基礎だと主張してやまない。台湾がこの共識を認めなければ当局間による交渉の一切には応じないとも言い続けている。

 世代交代にともない台湾の「現状維持」が強固な民意となって登場した蔡政権は、中国にとっていよいよの難物である。この時期を捉えて米国は台湾に2240億円相当の武器を売却する意向を発表した。旧国際秩序への挑戦勢力に対する現状維持勢力の不作為が戦争誘発の要因である。

 ミュンヘン会談においてドイツの軍事的膨張の意図を誤認した英国など欧州諸国の不作為こそが、第二次大戦勃発の起因であった。確執回避を優先するあまり対独宥和(ゆうわ)姿勢を取り、結局は大戦へと向かわざるを得なかった歴史の事実を顧みたい。(拓殖大学学事顧問・渡辺利夫 わたなべとしお)

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