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【正論】露は米のシリア空爆に激怒しているのか? 本音はシリアから手を引きたい?ロシア 北海道大学名誉教授・木村汎

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【正論】
露は米のシリア空爆に激怒しているのか? 本音はシリアから手を引きたい?ロシア 北海道大学名誉教授・木村汎

北海道大学の木村汎名誉教授 北海道大学の木村汎名誉教授

 ≪突きつけられた深刻なジレンマ≫

 右に述べたようなプーチン指導部の意図を十分承知しているティラーソン長官は、ロシア側に向かいシリアと米国のどちらを選ぶのかと迫った。ところが、目下のプーチン大統領にとっては、これら両国よりもさらに重要なメッセージの発信相手が存在する。ロシア国民に他ならない。というのも、氏は、来年3月にロシア大統領選を控えているからである。

 確かにその人気と支持率は盤石に見える。とはいえ、現ロシアでは経済の“三重苦”が解消されるめどがつかない一方、地方でのデモ、地下鉄テロなど不穏な動きも続出している。そのため、プーチン大統領は米国の言いなりになってロシア国民から弱腰との批判を浴びるのを警戒せねばならない。

 要するに、プーチン政権は「進むも地獄、退くも地獄」というシリア問題で深刻なジレンマを突きつけられている。この難問を解く鍵は、アサド政権が果たして化学兵器を使用したか否かの事実解明だろう。おそらくその答えを知っているロシアは、その証拠の提出を他のどの国よりも欲しているにちがいない。(北海道大学名誉教授・木村汎 きむらひろし)

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