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【世界のかたち、日本のかたち】極東有事と日本の利益線 大阪大教授・坂元一哉 

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【世界のかたち、日本のかたち】
極東有事と日本の利益線 大阪大教授・坂元一哉 

北朝鮮の朝鮮中央テレビが15日放映した、平壌での軍事パレードに登場した「KN08」とみられる弾道ミサイルの映像(共同) 北朝鮮の朝鮮中央テレビが15日放映した、平壌での軍事パレードに登場した「KN08」とみられる弾道ミサイルの映像(共同)

 戦前における日本の自衛は、朝鮮半島の防衛を含むものだった。韓国併合の後はもちろん、それ以前もそうである。

 明治27(1894)年、日本は朝鮮における騒乱(東学党の乱)に中国(清)が出兵したのを見て出兵し、日清戦争となった。戦争を外交面で指導した陸奥宗光外相は回顧録のなかで、朝鮮の混乱は「隣邦の情誼(じょうぎ)においてもまた自衛の道においても拱手(きょうしゅ)傍観」できなかった、と出兵を正当化している(『蹇蹇(けんけん)録』)。

 日本の朝鮮出兵は「自衛の道」だ、という陸奥の主張は、明治の元勲、山縣有朋(やまがた・ありとも)が主張した「利益線」の考え方を背景にしている。山縣は国家の自衛には「主権線」の安全だけでなく「利益線」の安全が必要と考えた。「主権線」とは国土のこと。そして「利益線」とは国土の防衛に密接に関係する場所のことであり、山縣が具体的にあげたのは朝鮮半島である。山縣は、その防衛なしに日本の自衛は全うできないとした。

 これに対して、戦後日本の自衛は、「利益線」の安全を米国との安全保障協力によってはかることで成り立っている。その協力は昭和25(1950)年、朝鮮戦争の勃発に際し、日本が米軍中心の国連軍に基地を貸して協力したときからはじまった。翌年、日米両国は、講和後も米軍の日本駐留を認める日米安保条約を締結したが、この条約を改定した現在の安保条約は、日米両国が極東の平和と安全の維持のために協力することを明確にしている。むろん極東には、日本の「利益線」である朝鮮半島も含まれる。

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