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難民受け入れ、ためらう欧州…英「失敗すれば信頼失う」 独「時計の針を戻したい」

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難民受け入れ、ためらう欧州…英「失敗すれば信頼失う」 独「時計の針を戻したい」

 【ニューヨーク=上塚真由】シリアなどの難民問題を主要テーマに掲げる今年の国連総会。難民受け入れの国際的な機運を盛り上げるため、難民サミットが19、20両日に開かれ、首脳らの一般討論演説でも難民問題への言及は多い。だが、難民保護申請者のテロが相次いだ欧州などでは難民とテロを結びつける風潮も根強く、各国の消極姿勢が目立っている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2015年末時点の難民の数は約6530万人で、前年に比べて約580万人増加した。難民急増の最大の要因であるシリア内戦が泥沼化するなか、中東に近い欧州諸国の懸念は深刻さを増している。

 一般討論演説に初めて臨んだ英国のメイ首相は20日、国境の管理は国家の義務であり権利だと主張。「失敗すれば国民の信頼を失い、国際犯罪が増え、経済に打撃を与えることになる」と述べた。

 難民問題の「旗振り役」であるドイツのメルケル首相は、19日にドイツで行われた会見で、昨年殺到した難民を十分に管理できていなかったとし、「できることなら時計の針を戻したい」と反省を口にした。

 一方、シリア難民の最大の受け入れ国であるトルコのエルドアン大統領は20日の演説で「西欧諸国は受け入れないかもしれないが、われわれは抑圧され、逃げてくる人にドアを開け続ける」と表明。国連サミットでは、シリア周辺国と、他の国との難民受け入れ数などをめぐる“格差”を解消することが狙いだったが、意識の差は顕著となった。

 一方、オバマ米政権は、難民の受け入れ拡大を進めており、シリアから年間1万人の目標を今年9月に達成。10月からは世界各国から年間11万人の難民を受け入れるとしている。

 だが、米国内でも移民・難民問題への理解が深まったとは言い難い。米大統領選共和党候補のドナルド・トランプ氏はメキシコとの国境への「壁」建設や、シリアなどテロ組織の拠点のある国からの難民受け入れの一時中断を公約にする。

 オバマ氏は自身が主宰した20日のサミットで「疑念や恐怖心に流されて壁を築くのか、他の道を選ぶのか。難民危機は人類への試練だ」とトランプ氏を暗に批判し、難民受け入れの懸念払拭に努めた。

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