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【検証・文革半世紀 第3部(4)】「特権階級が社会を牛耳る」 農村部に根付く読書無用論 

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【検証・文革半世紀 第3部(4)】
「特権階級が社会を牛耳る」 農村部に根付く読書無用論 

中国江蘇省の農村部で暮らす留守児童=2015年12月(共同) 中国江蘇省の農村部で暮らす留守児童=2015年12月(共同)

 自分の名前以外に覚えた漢字は、「男」「女」の2文字だけ。トイレに行くときに困るからだ。

 外国報道陣も入る北京市中心部の外交官アパート。三輪車タクシーの客待ちをしていた河南省出身の30代女性がそう話してくれた。

 「工商銀行」「朝陽医院」といった漢字が読めず、看板を指さして客に目的地などを確認することもある。それでも、1日平均200元(約3千円)前後の収入は、同世代の故郷の大学卒業生より多い。

 郷里に残してきた幼い娘について、女性は「多少の読み書きは覚えた方がいいと思うが、学校に行く必要はない」という。この周辺で待機する運転手は農村部からの出稼ぎ労働者が多く、大半は学校に行ったことがない。

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 「勉強する必要はない」という「読書無用論」は、農村部を中心に今も大きな支持を得ている。中国青年報が2014年、四川省の雲郷雍村で行った調査では、村の262世帯の約4割に当たる106世帯が子供を学校に行かせる必要はないと考えていた。「字を知らなくても金は稼げる」「教育費が高すぎる」などの理由からだという。

 中国で読書無用論が広がったのは1966年から10年続いた文化大革命(文革)期のことだった。政府が国民に「勉強するな」と積極的に呼びかけた。

 最高指導者の毛沢東自身が読書家であるにもかかわらず知識人を嫌い、68年には小中学校を含めて「授業を中止して全身全霊で革命に尽くせ」と呼びかけた。

 毛の妻で文革を推進した江青は、知識人を「臭老九」(9番目の鼻つまみ者)とののしり、「知識が多ければ多いほど反動だ」として学者や作家ら文化人を徹底的に迫害した。

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