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英EU離脱の真の課題とは 古森義久

 「英国のEU(欧州連合)離脱を大災害として非難することは不毛であり、米英両国と残りの欧州が協力して新たな国際秩序を築く好機とみなすべきだ」

 米国の国際政治論の大御所ヘンリー・キッシンジャー元国務長官がいま全世界で熱く論じられる「ブレグジット(英国EU離脱)」について米側大手メディアの論調をたしなめるような一文を発表した。6月末である。

 キッシンジャー氏は英国民の今回の判断を過ちだとしてたたくことは間違いであり、EUが本来の理想を遠ざけ、硬直化しすぎた点こそ問題なのだと説いた。

 米国では確かにブレグジットに対し当初は金融や貿易面だけからの「英国民のミス」を糾弾する論評があふれた。その点では日本での論調はもっと激しいようにみえた。「危険な孤立主義やナショナリズムの暴走だ」「ダークサイドの極右や極左の台頭だ」などと侮蔑のにじむ反応がときにはヒステリックな語調で表明されていた。英国民はそれほどに無知で偏狭なのかといぶかるほどの決めつけもあった。

 だが英国の国民投票結果の衝撃が一段落すると米国ではその原因を英国民の誤算や浅薄よりもEUの弊害に帰する評論が目につき始めた。キッシンジャー論文もその一例だといえる。

 保守派の長老政治評論家ジョージ・ウィル氏は「歓迎すべき英国の国家地位の復活」と題する大手紙への寄稿で次のように論じた。

 「官僚的な統制で化石のようになったEUにより英国は自国の法律の60%以上を押しつけられ、EUへの従属を強いられてきた。英国民はこの自国の主権の喪失に反対したのだ。自国の主権と価値観とアイデンティティーとで生きるという決意はフランスにも広がっており、各国の主権を抑える超国家組織としてのEUはいまや存在自体を問われる危機に面した」

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