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【金正恩の北朝鮮(上)】
群衆前に金日成の「黄金の時代」必死に体現 習近平氏の祝電からも消えた「同志」
36年ぶりの開催となった北朝鮮の朝鮮労働党第7回大会の閉幕から一夜明けた10日午前、平壌の金日成(キム・イルソン)広場のひな壇中央に、最高指導者が手を後ろに組んで立っていた。党最高位の新設ポスト、委員長に就任したばかりの金正恩(ジョンウン)氏である。
後ろ手に組む姿勢こそ、祖父、金日成主席の得意のポーズだった。メガネの形も祖父とそっくりである。北朝鮮で高度成長を実現し「黄金の時代」と呼ばれた1960年代、つまり金日成時代のイメージを、広場の群衆の前で必死に体現しようとしていた。
6日から9日まで開かれた党大会も、イメージ戦略の一環にすぎなかった。
今回、党規約に明記された「(核開発と経済建設の)並進路線」にしても、2013年から党の戦略路線として進められていたものだ。「新たな戦略やビジョンは打ち出されなかった」(韓国・統一省)という中で、新設されたものが「委員長」だった。