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【日曜経済講座】元切り下げで資本逃避加速 市場自壊、変動相場制移行促す 編集委員・田村秀男

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【日曜経済講座】
元切り下げで資本逃避加速 市場自壊、変動相場制移行促す 編集委員・田村秀男

 中国人民銀行が人民元切り下げに踏み切ると、大量の資本が海外に逃げ出した。中国は市場自壊を防げるのか。

 習近平政権はもともと「強い元」策を続けてきた。元をドル、ユーロや円と並ぶ国際通貨の地位に押し上げるという、1990年代半ば以来の中国共産党の悲願達成のためだ。

 国際通貨になれば中国の国際的威信が高まる。年内の設立準備を進めている中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)も外貨調達に頼らなくても、人民銀行が刷る元で用が足りる。石油も軍事技術も元で買えるようになる。韓国、東南アジアなどは元経済圏に組み込まれ、日米の影響力が薄らぐだろう。

 通貨高は、アベノミクス以前の円高の日本がそうだったように、国内にデフレ圧力をかける。

 2008年9月のリーマンショック後の不況は不動産開発投資主導で乗り切ったが、12年には不動産バブルが崩壊し、鉄道貨物輸送量からみる実物景気はマイナス成長に転落した。習政権は14年後半、人民銀行、政府機関、国有企業さらに国営メディアまで総動員して株式ブームを演出したが、この6月に株価は暴落した。いよいよ八方ふさがり、景気てこ入れのためには元高維持策を打ち切るしかなくなった。

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