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【リー・クアンユー氏死去】「現実主義のエリート政治家」 拓殖大国際学部・岩崎育夫教授

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【リー・クアンユー氏死去】
「現実主義のエリート政治家」 拓殖大国際学部・岩崎育夫教授

岩崎育夫氏

 リー・クアンユー氏はイギリスのケンブリッジ大学で法律を学び、留学中に独立意識に目覚めた。卒業後、シンガポールで弁護士となるが、ほどなくして人民行動党を結成して書記長となり、1959年の総選挙で勝利してシンガポール自治州の初代首相になった。東南アジアでは珍しい、イギリス留学経験のある弁護士政治家で、自分の能力と政治指導力に強い自負を持っていた。

 シンガポールは1819年にイギリス植民地となり、マレーシア、中国、インドからの移民が集まってできた移民社会だ。伝統的な王朝は存在せず、ゼロから作られた国家なので、リー氏は自分の考えに沿ってシンガポールの政治、経済、社会制度を自由に作り上げることができた。シンガポールは「リー・クアンユーの国家」といっても過言ではない面がある。

 では、弁護士ではあったものの、経済学者や経済官僚ではなかったリー氏がなぜ、シンガポールの経済成長を実現できたのか。それは、彼自身の経済運営能力というよりも、初期の副首相だったゴー・ケンスイ氏を登用するなど、経済官僚や専門家をうまく使いこなしたからである。リー氏は、政治的な管理と国民管理を行って、経済専門家が存分に力を発揮できる環境を作り出したのである。

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