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【寄稿・イスラム国の正体】(上)存立根拠はローカルな内政対立 池内恵・東京大学先端科学技術研究センター准教授

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【寄稿・イスラム国の正体】
(上)存立根拠はローカルな内政対立 池内恵・東京大学先端科学技術研究センター准教授

池内恵・東京大学先端科学技術研究センター准教授

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」はイメージと実態に乖離(かいり)がある。地図上ではイラクとシリアの周縁の広い領域を支配しているために強大な印象があるが、中核にある元来の構成員は1万5千人程度とされてきた。米中央情報局(CIA)が今年8月の段階で上方修正した推計でも2万人から3万1500人程度とみられ、8月からのイラク空爆、9月からのシリア空爆の打撃により戦闘員の数は減少している可能性がある。

 外国からの義勇兵が半数以上を占めるとされるが、その大部分は近隣アラブ諸国から流入している。ロシアからの独立戦争を戦ってきたチェチェン系の武装集団なども流入している。西欧・米国出身の戦闘員は合計で2千人程度とみられ、全体の中で割合は低い。しかし欧米のメディアに注目されやすく社会的な効果が大きいことから、宣伝部門で大きな役割を担っているようだ。

 イスラム国の存立根拠はまずイラクとシリアのローカルな内政対立や内戦状況にあり、アラブ世界を通じて体制の腐敗や独裁による不正義の存在が広く認識されていることに根本原因がある。ここに、欧米社会での目的意識の喪失といった漠然とした不満から共感する勢力が加わってグローバル化している。

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