「皆で遊んだ『こどもの日』一秒でも早く再会したい」横田滋さん、早紀江さん

めぐみへの手紙
横田めぐみさん(左)は母の早紀江さん、初めての端午の節句を迎えた双子の兄弟と記念写真に納まった =昭和44年5月

 めぐみちゃん、こんにちは。日本は「こどもの日」の祝日を迎えました。こどもの日は家族皆で遊んで、お寿司やケーキを作ってお祝いをしましたね。ちまきや柏餅も食べました。お母さんは桜餅の作り方を一生懸命習い、作ったことを思い出します。めぐみちゃんは、何を思い出しますか?

 お父さんとお母さんは、めぐみちゃんが生まれたとき、本当にうれしかった。双子の弟、拓也と哲也を授かったときも大喜びして、こいのぼりと、かぶとを買って飾りましたね。マンションだから、ベランダに飾れる大きさのかわいらしいこいのぼり。かぶとは今でも、男の子がいる哲也が大切に持っています。

 こどもの日は子供の人格を重んじ、幸福をはかり、母に感謝する祝日だそうです。どの親御さんにとっても、子供はかけがえのない存在です。めぐみちゃんは3260グラムの立派な赤ちゃんで、黒い髪の毛が印象的でした。初めて抱いたときのズシリと重たい感触を、お母さんは鮮明に覚えています。恥ずかしい話だけれど、生まれる前は男の子だと思っていました。当時、おなかの中を撮影できる機器もなくて、おなかの形などで「絶対男の子」と言われ、そう思い込みました。

 女の子の名前をまったく考えていなかったから大慌て。「早紀江は漢字が3つ並んで難しい」とよく言われたので、ひらがなの名前をたくさん考えました。そして、元気で誰からも愛されるように願いを込めて、「めぐみ」に決めました。お父さんとお母さんは、その通りの女の子に育ったと思います。

 今、朝鮮半島の情勢はとても複雑です。めぐみちゃん達が状況を把握できているのか。どう思っているのか。お父さんとお母さんはただ、祈ることしかできない。どうして助けてあげられないんだろうと毎日、悩み、深刻に考えると気落ちしてしまうから元気な姿をいつも思い描いています。

 拉致の解決は「本気度」が不可欠です。日本政府は厳しい状況を逆にチャンスととらえ、あらゆる知恵を働かせてほしい。良い解決ができるよう、政府の方たち一人一人が真剣に、自分の子供を取り返す思いで、事に当たっていただきたいと、いつも訴えています。

 そして、北朝鮮の指導者も閉ざした心を大きく開き世界に堂々と出て、色々な国の人と話し合えるようになってほしいと願います。

 めぐみちゃんが13歳で拉致されて40年がたってしまいました。20年前、北朝鮮にいると分かり、政府を信頼してすぐ解決していただけると思ったのに…。40年は人生のほとんどと言っていい長さです。拉致問題に心を込めて、一生懸命やってくださった方々が病に倒れ、亡くなることも多くなりました。本当に寂しく、悲しいことです。これも、未解決の年月があまりにも長いせいです。

 一秒でも早く再会して、皆で楽しく暮らしたい。お父さんもお母さんも、めぐみちゃんが日本に必ず帰って来られると信じて、心を強く持ち、元気な姿で会えるようがんばっています。めぐみちゃんも元気にしていれば、必ず良い日が来ます。あなたを助けるため、皆頑張っています。希望を持って待っていてね。

 「拉致は許さない。一緒にがんばりましょう」。国民の皆様の力強い思い、声は私たち家族の支えです。お父さんは高齢や体調不良で4月23日の国民大集会に参加できませんでした。そしてお母さんは会場の皆様に「40年間、拉致被害者を救出できなかったのは国家の恥です」と訴えました。

 日本の国の大切な子供たちが成長して、世の中の役に立ちたいと思っていたはずなのに突然、工作員に拉致され、煙のようにこの国から消えてしまいました。「帰して」と国民皆で叫んでいるのに、姿も気配も見えず、助けられない。こういう状態は、国家として本当に恥ずかしいことです。

 日本は拉致実行犯を本気で捕まえようとしていない気配さえ感じます。悪いことのため動く人たちがまだまだ日本の中にいると感じますし、それを放置すれば今後も色々なことが起きる気がして心配が募ります。

 安倍晋三首相は「拉致問題は私が解決する」と明言してくださいました。私たち夫婦は初めて安倍首相にお会いしたときから今も変わりなく、信じています。被害者を取り戻し、「日本はさすが、どんなことがあっても、どんなに時間がかかってもやり遂げる」と、世界に認められる国であってほしいと願います。