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人工知能vs.プロゲーマーの闘い、人間が制する――その戦術から見えたAIの「弱点」と可能性

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人工知能vs.プロゲーマーの闘い、人間が制する――その戦術から見えたAIの「弱点」と可能性

「ボットたちはゲームに『反応』しています。ゲームの世界を見て、そのときに何をするかを考えるわけです」と、カリフォルニア大学バークレー校のベン・レヒト教授は言う。

OpenAIのDota 2プロジェクトでソフトウェアエンジニアを務めているスーザン・チャンは、対paiN戦でその欠点が現れたと話す。訓練中、ボットは自分のアクションの影響を最大14分先まで考えていた。「単純に、15分以上先のことを『計画する』メカニズムが備わっていないのです」と彼女は言う。「これは間違いなく、試合でボットが見せた長期戦略の欠如につながっています」

ボットに力を与えたグラフィックプロセッサー

だからといって、強化学習がパワフルになりえないというわけではない。paiNと渡り合うゲームを繰り広げたことで、OpenAIのボットはすでに先代のゲームボットよりも高いレヴェルに到達したのだ。

これは、進化したグラフィックプロセッサーを活用したおかげで処理能力が向上したからだとOpenAIは説明する。うまくいく戦術の発見に必要な練習を何百万回も行えるようになったことで、難しい課題にも取り組みやすくなったのだ。また今月はじめ、OpenAIはDota 2に使ったのと同じアプローチを活用して、素晴らしい器用さをもつ5本指のロボットも開発している。

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ちなみにマスクは今年の初頭に、「テスラとの利益相反を避けるため」という理由でOpenAIの幹部職を辞している。

ゲームと現実世界の違い

対paiN戦での完敗は、AIの絶え間ない成長の歴史のなかのささいな出来事かもしれない。OpenAIの共同創設者で最高技術責任者(CTO)を務めるグレッグ・ブロックマンは、「paiN戦でお見せしたのは、AIが人間の能力の限界のすぐそばまで近づいているということです」と彼は言う。

paiN戦の前に『WIRED』US版が行ったインタヴューで、レヒトはOpenAIが人間のプロチームを破ると予想していた(そうでなければ、その後の試合で勝利するだろうとしていた)。しかし、彼はマシンがすぐに多種多様な典型的職業で人間に勝るようになるという意見には反対した。

「ゲーム内の環境というのは、遊んでいて楽しめるようにシンプルかつ多くの制限を伴うようにつくられています」と彼は言う。「これは数百万の反復シミュレーションを必要とするアルゴリズムにとっては好都合です。しかし、ゲームの世界には現実世界の予測不可能性や困難が欠けているのです」

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