産経ニュース

水没の危機にあるヴェネツィアを巨大な「壁」は洪水から本当に救えるのか?

WIRED WIRED

記事詳細

更新


水没の危機にあるヴェネツィアを巨大な「壁」は洪水から本当に救えるのか?

防潮堤だけでは都市を守れない

海面上昇にどこまで対応できるかが極めて重大となるのは、それによってより大規模な高潮が起きる可能性が高まるだけではない。そのことが防潮堤をより頻繁に稼働させる必要を生じさせ、すでに構造的問題を有している建造物をより消耗させてしまうからだ。

イタリア国立研究評議会の海洋科学研究所の海洋学者ゲオルグ・ウムギーサーによれば、50cm(約20インチ)の海面上昇では防潮堤が1日に1回閉ざされることになる。だが、70cm(約28インチ)となるとゲートは開いているよりも閉ざされていることのほうが多くなるという。

「より頻繁に閉鎖すると、さらなる維持費用がかかるだけではありません」とウムギーサーは語る。「深刻な洪水を防ぐために防潮堤への依存度が増え続けることにもなるのです。1度の故障が壊滅的な被害をもたらす可能性もあります」

長年にわたって防潮堤に代わる選択肢が提案されてきた。ある案は可動式のゲートのシステムに微修正を加えることを提案し、またほかの案は異なる技術を必要とした。また別の案は洪水により耐えやすくすることだけを目的としていた。これまでのところ、幅広い支持を得たものはない。

いずれにせよ、世界中のその他多くの沿岸の都市と同様、ヴェネツィアが防潮堤だけで救われることはないようだ。

「1966年の洪水以来、110cmを超える高潮の頻度は10年ごとに倍増してきています」と、ヴェネツィアレジリエンス研究所の所長ジョバンニ・チェッコーニは言う。「この傾向は二酸化炭素の排出量が制限されたとしても、当分止まりません」

「MOSEが魔法の杖でないことは確かです」と、チェッコーニは続けて言う。「MOSEはむしろ、わたしたちが危機に対処するための新たな手段を見つけ出し、実施するだけの時間を与えてくれるようなものだと考えたほうがいいでしょう」

RELATED

このニュースの写真

  • 水没の危機にあるヴェネツィアを巨大な「壁」は洪水から本当に救えるのか?