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水没の危機にあるヴェネツィアを巨大な「壁」は洪水から本当に救えるのか?

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水没の危機にあるヴェネツィアを巨大な「壁」は洪水から本当に救えるのか?

気候変動による海面上昇

インベルガーは、すべてが計画通りに進んだ場合、MOSEは今後30年ほどは1966年の壊滅的な洪水のようなものからヴェネツィアを守れるだろうと述べている。「しかしゲートは潮が110cm(約43インチ)に達したときにだけ上昇するため、潮が80cm(約32インチ)を超えただけで浸水するサンマルコ広場のような低い土地で起きている洪水を防ぐことができません」とインベルガーは指摘する。

「この問題は、より低い潮で防潮堤を上昇させることで改善される可能性があるかもしれません。しかし、それは干潟の環境にそれなりの悪影響を及ぼすでしょう」

長い目で見れば、先行きはより見えなくなってくる。この世界のほかの多くの物ごとと同様、MOSEの有効性は今後数十年でどれだけの二酸化炭素が大気中に排出されるかにかかっている。したがって、50年という防潮堤の耐用年数の間に海面がどれだけの速度で上昇するかによって、その有効性は変わるということだ。

2011年のUNESCOの報告に従って、2100年に16cm(約6インチ)、22cm(約9インチ)、31.4cm(約1フィート)という3つの海面上昇のシナリオが計画段階の間に検討された。立案者たちは「慎重」と評されていた2番目のシナリオを用いることを提案した。しかし今日では、3番目のシナリオでさえ楽観的すぎるように思える。

気候変動により、地中海は2100年までに最大で5フィート(約150cm)上昇すると見積もられている。つまり、水位は110cmという危機的なレヴェルに達する可能性があるのだ。このためヴェネツィアは1日2回、満潮時に洪水に襲われることになるだろう。

マラノッテ=リッツォーリは、MOSEが約2フィート(約60cm)の海面上昇を処理するよう設計されたとの主張を続けている。防潮堤の建造を委託された組織である新ヴェネツィア事業体も同じことを主張しているが、これが公式のプロジェクトの目標であるという証拠は見つけられなかった。

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