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「ゲーム障害」は本当に疾病なのか? WHOの認定で巻き起こる論争

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「ゲーム障害」は本当に疾病なのか? WHOの認定で巻き起こる論争

この割合は、実際の数にすると数百万人になる。参考までに、米国立精神衛生研究所(NIMH)では、米国における統合失調症とそれに関連する精神障害の範囲を0.25パーセントから0.64パーセントと推測している。つまり、臨床的にいえば、ゲーム障害のある人々は、人口のかなり大きな割合を占める可能性があるということだ。この事実は、明確な診断基準の必要性をより強調する。

ゲーム障害を評価する測定尺度が多すぎる問題について考えてみると、多くは「ゲームに費やされる時間」に重点を置きすぎている。もちろん、毎日のように昼夜を問わずプレイしている人を、十字キーにほとんど指を置かない人と比べれば、前者のほうが問題を抱えている可能性は高い。しかし、1週間に10時間、15時間、あるいは20時間以上ゲームをしていても、幸せで、生産性が高く、社会的に活発な生活を送っている人は多いのだ。

ICD-11への記載に反対する人々は、明確な診断指針がないにもかかわらず、「WHOはゲームとの健全な関係を問題視するという危険を冒している」と批判している。専門家が危惧するのは、むやみにゲーム障害と診断される状況が整いつつあることだ。

ウォータールー大学のナックは、「別の視点から見れば健康かもしれない行動まで、性急に病的だとみなすのは危険です」と語る。「100人のうち、ある1人に深刻なゲーム障害があると判断するまでに、10人を誤診するかもしれません。これは、重大な問題と言えます」

ペトリーは、「診断基準が完成して初めて、テストができるのです」と言う。「それなのにゲーム依存に関する研究分野では、すべてが逆向きに進んでいます。そもそも使われている測定尺度のほとんどが適切ではありません。診断のための判定ポイントもまったく示されていないのです」

WHOとしては、ゲーム習慣によって個人的な生活が1年以上にわたり深刻な影響を受けている患者を対象とするメンタルヘルスの専門家が、独自に判断ポイントを見極める力を備えていると考えている。おそらく彼らは備えているのだろう。しかし、誤診を回避する力を備えているのかどうかについては、まだわからないのだ。

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