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活発化する中国の対米ハッキング、政府機密を狙う「もうひとつの経済戦争」の行方

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活発化する中国の対米ハッキング、政府機密を狙う「もうひとつの経済戦争」の行方

強化された中国のサイバー諜報能力

今回の攻撃では、ハッカーたちは通常のサイトに事前に仕掛けたマルウェアから狙ったネットワークに侵入し、管理者用のプログラムやそのほかの正規のツールを操作して、システム内部に潜り込もうとした。攻撃に使われたマルウェアや手法はどれも珍しいものではなく、侵入者の特定や追跡は困難だった。だが、シマンテックは侵入の手口のパターンを読み取ることで、Thripの攻撃だと特定したという。

標的には、東南アジアの大手通信会社3社やアメリカの地理空間情報関連の企業のほか、複数の民間衛星通信事業者(うち1社はアメリカ企業)が含まれている。また、米軍と契約のある軍需企業も被害にあった。攻撃はすべて特定の標的を狙ったもので、衛星通信事業者に関しては、ハッカーたちは実際に運用中の人工衛星の管理システムまで到達していた。

シマンテックのセキュリティアナリストのジョン・ディマジオは、こう話す。「恐ろしい状況です。ハッカーがどのようなシステムを狙ったのか、どの企業の攻撃に最も時間を費やしたかなどを調査しました。人工衛星の管制システムまで侵入されていたほか、地理空間画像の処理会社や通信会社についても、運用システムが狙われています」

諜報活動はどの国家も行なっていることで、発覚しても黙認されることも多い。Binary Defense Systemsのケネディは、2国間の場合、相手と対等の能力をもっていることを誇示するためにスパイ活動を展開する場合もあると指摘する。また、関税問題をめぐり米中の地政学的な緊張が高まるなか、中国がこうしたサイバー攻撃を強める姿勢を見せていることは驚くには値しないという。

ケネディは「政府絡みのハッキングは、『お前たちのやっていることは気に入らないから、ちょっと痛い目にあわせてやるぞ』ということを伝える示威行為として行われることが多くあります」と説明する。「例えば戦闘機で領空侵犯をする代わりに、不満を表明する最初のステップとしてサイバー攻撃を仕掛けてくるのです」

2015年の合意によって中国からのサイバー攻撃は一応の落ち着きを見せた。しかし、業界の専門家たちは過去数年で政府系のハッカー集団の「整備再編」が進み、中国のサイバー諜報能力は強化されたと考えている。そして、ここ数カ月で明らかになった事例から判断すれば、彼らは標的から重要機密を盗み出すために攻撃を最適化してきたのだ。

シマンテックのディマジオは、「パズルのピースがすべてはまった感じがします。場当たり的に標的を決めたわけではなく、綿密に計画したうえでの攻撃です」と警告している。

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