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砂糖は抗生物質に代わる「未来の抗菌薬」になるかもしれない

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砂糖は抗生物質に代わる「未来の抗菌薬」になるかもしれない

ムランドゥは西洋に来て、英国の大病院で砂糖が使われていないことに驚き、自国の医療の伝統の有効性を証明しようと決意し、砂糖の殺菌効果の研究に打ち込み始めた。そして、何年も研究を行ったあとで2011年、ようやく22人の患者に対する試験的な研究の結果を発表した(現在、患者は44人に達しているが、最新のデータはまだ発表されていない)。

内容からは、体液が浸出している傷口の処置や、壊死した組織が残っている傷に砂糖を塗ったときの有効性が明らかになった。試験管内で行った一連のテストで、ムランドゥは市販されているさまざまな種類の砂糖を使った。その結果、高濃度なら、手に入るすべての種類の砂糖が細菌に対して、強力な抗菌作用を示すことを発見した。唯一の例外はデメララシュガーだった。

著者の見解では、ハイテクな環境を備えた先進国の病院でも、潰瘍や慢性的な傷のケアでは砂糖でしかできない治療があるという。すべては、さまざまな種類の傷や患者に塗布するための治療の手順を見つけることにかかっていると彼は説明する。

砂糖の濃度が治療効果を左右する

砂糖のように天然の物質で無害に見える治療薬でも、使い方を誤れば、健康を害する潜在的なリスクとはならないまでも、面倒なことになる可能性がある。すべては塗布する傷の種類と、砂糖の濃度に左右される。

国立新技術・エネルギー・持続的経済発展機関(ENEA)の獣医で傷治療の優れた専門家、フィオレッラ・カルネヴァーリは『WIRED』イタリア版の取材に答え、次のように説明した。

「傷の治療に砂糖が有効なのは事実で、よく知られています。塩の場合と同じように、砂糖の浸透圧が高い、つまり砂糖の粒のなかに存在する分子の密度が高いおかげで、砂糖が接触するもののなかに入ってゆかず、反対に水を引き寄せるようになります」

この特徴のおかげで、砂糖は治療に効果的だと言える。細菌から水分を奪って殺し、傷を殺菌するのだ。ただし、勧められるケースは限られている。砂糖が高濃度で維持されており、慢性的な傷を治療し始める初期の段階で、壊疽や炎症、感染が見られる場合だ。

しかし、カルネヴァーリは次のように強調する。

「こうした作用メカニズムは、砂糖で傷をケアする際に生じる問題の原因にもなり得ます。この治療では頻繁に砂糖を交換しなければなりません。3~4時間おきのこともあります。傷から体液が浸出して砂糖の濃度が薄まれば効力が薄れ、むしろ細菌の食料源となるリスクがあるからです。これを避けるため、体液が浸出している傷口への塗布は勧められません。砂糖の効力を維持するために、さらに頻繁に交換しなければならないでしょう」

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