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「カロリー制限」で人間は本当に長生きできるのか 過去最大規模の臨床試験から見えてきたこと

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「カロリー制限」で人間は本当に長生きできるのか 過去最大規模の臨床試験から見えてきたこと

カロリー削減でがんの発病と進行を遅らせる

カロリー削減が人体に与える影響についての研究では、細胞が老化する原因はいまだ解明されていない。しかし、だからといってカロリー削減が健康の増進に大きく寄与している可能性が消えたわけではない。

「カロリー削減は、がんの発病と進行を遅らせる唯一の方法として知られています」と米国立老化研究所(National Institute on Aging)で老年学実験研究室(Translational Gerontology Branch)の研究室長を務めるラファエル・デ・カボはいう。

カボの研究チームは最近、25年にわたりアカゲザルを使って行ったカロリー削減の研究結果をまとめた。サルを使った別の研究ほど劇的な長寿効果は見られなかったが、がんや代謝性疾患の発病率は下がることを確認した。カボは言う。

「環境汚染のひどい状況で働く人たちがカロリー摂取量を減らせば、汚染物質から身を守るために極めて有効でしょう。しかし、おわかりの通り、ずっと少量しか食べずに我慢できる人はいません」

ジェフリー・パイパーほど、身をもってそれを知る人間はいないだろう。産科医で現在58歳の彼は、9年前にワシントン大学の治験者として参加した。それまでずっと体重を落とせずにいた彼は、これで痩せられることを期待していた。参加したときの彼の血圧は84~132あったが、カロリーを減らした食事法を数カ月続けると、65~115まで下がった。さらに、1年間で体重は30ポンド(約13.6キロ)落ちた。

しかしその半年後、ハイパーは治験をやめた。あまりにも要求がきつすぎたのだ。「エネルギーも体力も奪われましたし、明らかに性欲もなくなりました。それに毎日カロリーをしっかり管理されるのには、本当にうんざりしましたね」

ハイパーはいま、すっかり体重が元に戻り、高血圧の薬を飲まなければならなくなった。しかし少なくとも、充実した生き方をしている実感がある。たとえ長生きは無理だとしても。

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