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「カロリー制限」で人間は本当に長生きできるのか 過去最大規模の臨床試験から見えてきたこと

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「カロリー制限」で人間は本当に長生きできるのか 過去最大規模の臨床試験から見えてきたこと

体がより少ない酸素量で、必要とされるすべてのエネルギーを生み出せるようになれば、代謝によって生まれる副産物も減少する。こうした副産物のなかには、DNAなどの細胞機能にダメージを与える恐れのある「フリーラジカル」なども含まれる。

「調査から2年後には、代謝率の低下やカロリーの削減レヴェルが、細胞や組織を酸化させて機能を損なうストレスを減少させるらしいとわかってきました」とレッドマンは言う。

「ハンバーガー半分と少しのポテト」では生きられない

この調査でカロリー制限が長寿につながると断定するには、期間が十分とは言えない。それを確かめるには何十年もかかるだろう。しかしレッドマンはこのデータについて、長年、論争の的になっている人間の老化の理論2つを改めて裏づけるものだと主張する。

その1つは、生命体の代謝速度が遅いほど長く生きるという説である。もう一方は、年月とともに細胞がフリーラジカルによる悪影響を蓄積し、生命体が老化するというものだ。

Calerie研究者には、その説に納得しない人もいる。ワシントン大学の治験を指揮した内科医、ルイージ・フォンタナはこう言う。

「空腹で死にかけているせいで、睡眠時の代謝率が下がるとも考えられます。それが長寿のバイオマーカーになりますか? 答えはノーです。毎日の食事をハンバーガー半分、フライドポテトを少しだけにすればカロリーは減らせますが、長生きするでしょうか? 栄養失調で死にますよ」

フォンタナ自身がCalerieの治験データから出した研究結果では、ある特定のインシュリン経路に変化が起きるほうが、代謝全体の減少より重要だろうとしている。彼はさらに、1日数時間、冷水の中で泳がせたラットの研究結果についても指摘する。ラットの代謝率は下がるが、室温に置いたラットほど長く生きられなかった。

マウスをフリーラジカルから守る酵素を過剰に発現させた研究もある。この場合も、マウスは長く生きられなかった。レッドマンのデータは興味深いが、すべてを説明できるわけではないとフォンタナは言う。

「20年前は、カロリーを減らせば減らすだけいいというのが定説でした。しかし、いまわたしたちが行っている研究では、数値は重要ではないという結果が出てきています。遺伝的性質や食事構成、食べる時間、腸内微生物の種類といった要素すべてが、カロリー削減に影響を与えるのです」

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