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平昌五輪の新種目「ビッグエア」支えた美しき巨大建造物 迫力の舞台はこうして作られた

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平昌五輪の新種目「ビッグエア」支えた美しき巨大建造物 迫力の舞台はこうして作られた

今回の平昌五輪プロジェクトは特に楽しかったという。ビッグエアのキッカーは初めてではない。2016年にはメジャーリーグのボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイパークで行われた大会で、17年にはロサンゼルスで行われたプロボーダーのショーン・ホワイト主催のフェスティヴァルで、それぞれジャンプ台を設営した。

ビッグエアのコースはたいてい仮設で、大会ごとに会場に合わせてオーダーメイドで用意する。このため細部は少しずつ異なるが、基本構造は同じだ。

構造上、最も高い位置にあるのは150フィート(約45.72m)前後のところにあるスタート地点で、選手が順番を待つデッキが設けられている。ここからジャンプの踏み切り台に当たるキックまで「アプローチバーン」と呼ばれる助走部分が続く。傾斜角は38~39度ほどで、滑走スピードは時速35~40マイル(約56~72km)まで加速する。選手たちはその速度でキックを飛び出し、空中に放り出されるわけだ。

その先には着地のための「ランディングバーン」があり、アプローチと同じくらいの傾斜のスロープになっている。ここは非常に重要な部分だ。ジャンプした選手の推力を下向きから前向きのものに変え、ビルの上から飛び降りるのに等しい衝撃から守る。

ランディングの中央はキックの先から70フィート(約21m)ほど離れたところにある。選手が飛びすぎたり、逆に飛距離が出なかった場合でも、急斜面に着地してしまう危険を最小限に抑える設計になっている。

最後は「フラット」と呼ばれるエリアだ。着地ラインから85フィート(約26m)にわたって緩やかな傾斜が続く。スタートデッキからフラットの終わりまで、コースの全長は400~500フィート(約122~152m)にも及ぶ。

その場限りだから美しい、巨大な「組み立て式おもちゃ」

安全面にも留意しながら設営を行うのは非常に難しい。キッカーは雪と金属、木材で構成され、自然の地形がうまく適合するようであれば、それも利用する。平昌の場合、ランディングバーンはスタジアムの席の一部に雪を重ねてつくられた。

ビッグエアの舞台装置は、1回しか使われないという性質ゆえに、工業的な美しさを生み出している。急傾斜のアプローチは好例だ。空に向かってそびえ立つスチールの骨格に支えられている。骨組みとつなぎ目は、数万本の金属の竿と留め具、クランプでできている。

ステージセットや競技場といった巨大建造物の設計士であるジェレミー・トムは、「本質的には巨大な組み立て式のおもちゃです」と話す。フェンウェイパークとロサンゼルスのキッカーも、トムがデザインした。

使われた部材の数はそれぞれ25,823個と22,693個に上る。CADファイルには一つひとつの部材の情報がすべて書き込まれていた。トムは「部材は1つずつ組み立てていきます。つまり手づくりです。英ロンドンのサヴィル・ロウに立ち並ぶ高級紳士服店のスーツのように、完全なオーダーメードなのです」と言う。

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