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電気自動車が普及すると、電力網を「破壊」する? 問題解決のために、いまやるべきこと

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電気自動車が普及すると、電力網を「破壊」する? 問題解決のために、いまやるべきこと

鍵を握るのは「昼夜の需要差」

 このような充電パターンは、電力会社にとって理想的だろう。昼間に最も上がり、夜間に最も下がるという電力需要の変動に対応するため、発電所はたいてい出力を引き上げたり停止したりしている。だが、このようなサイクルを繰り返すとコストがかかる。

 ここで、1台のEVは1軒の家と同じくらいか、場合によってはさらに多くの電力を使用するという事実を思い出してほしい。理想的な状況は、ある地域や都市で、夜間にクルマの充電ニーズが高まり、昼間の平均的な電力需要に匹敵するようになることだ。

 全体的な電力需要が高まり、かつ昼夜の差が小さくなれば、より安いコストで電力を生産できる。しかも、電力会社に課せられている規制のおかげで、こうしたコストの減少は、どのようなクルマに乗っている人の電気代にも反映されることになる。

 EVは電力会社にとって非常に魅力的な存在だ。このため、自宅に充電ステーションを設置するための補助金を提供している会社もある。ロサンゼルスの水道電気局は、最大で500ドルのリベートを提供。ほかの電気事業者も、電力需要の低い夜間に充電を行う人に特別割引を適用するなどのインセンティヴを提供している。

 さらに素晴らしいことに、EVが増えれば電力会社が再生可能エネルギーの利用をさらに進める可能性がある。米連邦政府は最近になって太陽光パネルに最大30パーセントの関税を課すことを発表したが、太陽光発電は増え続けている

 当たり前のことだが、太陽が出ているのは昼間であるため、太陽光発電は従来の発電所に対する電力需要を、ある程度肩代わりできる可能性がある。

 EVはバッテリーを搭載している。日中にソーラー充電装置を利用できる人は、太陽が出ている間にたっぷりと充電しておけば、電力需要がひっ迫したときにその電力を電力網に戻して、ちょっとしたリベートを得られるようになるかもしれない。

 また、「風はたいてい夜のほうが強く吹きます」とケリーが言うように、夜間に風力発電の電力で充電しておけば、クルマで出勤したあとに余った電力を戻すことで、午前中の電力需要に対応できるようになる。再生可能エネルギーに対するこうしたモジュール式アプローチは、風力発電や太陽光発電の業界が直面している最大の問題の1つを解決するのに役立つだろう。

 これまで述べたような動きがEVと再生可能エネルギーで起こっているなかで、全米の電力会社がスマートグリッド技術の導入を進め、センサーなどのフィードバック技術を使って電力需要をリアルタイムで確認できるようにしている。この取り組みが始まった理由の1つは、2013年に米北東部で起こった停電などの大災害に対応できるようにするためだった。

 EVと電力網がうまく連携できなかったとすれば、それは電力会社が現実で起こっていることから目を背けていたからだ--ということになるだろう。

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