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飛行機に搭乗する際の「待ち時間」は早くならない その理由は航空会社の収益構造にあった

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飛行機に搭乗する際の「待ち時間」は早くならない その理由は航空会社の収益構造にあった

このシステムは効率的だろう。乗客は荷物を棚に載せるスペースと時間を確保できる。ただし、乗客がこの順番を正確に守ると期待するのは愚かなことである。一見、搭乗にあたっての決まりなどないように見えるし、一時的とはいえ家族が離れ離れになるからだ。

サウスウェスト航空の「早さ」をまねできない事情

搭乗したことがあるかもしれないが、迅速さでいえば、いちばん速いシステムはおそらくサウスウェスト航空のものだ。座席指定がないため、空いている場所に荷物を入れて座ることができる。

ただし、この仕組みはほとんどの航空会社では機能しない。「どの航空会社も飛行機の滞空時間を最長に、地上での時間を最短にするために独自のプロセスをもっています。各社のビジネスにおいて、現実的な範囲内で可能なシステムでなければなりません」とロットラーは言う。

重要なのは後半部分だ。サウスウェスト航空は低価格が特徴だが、これは指定席という“贅沢”を捨てて実現した。しかし、ユナイテッド航空やアメリカン航空、デルタ航空などには、ルイ14世も驚くほど複雑な“階級制度”がある。

座席の違いだけではない。マイレージプログラムやクレジットカードのステータス、優先搭乗のために追加料金を払ったか否か、手伝いが必要か、小さな子どもがいるか、特典を受けられるサーヴィスメンバーかどうかなど、さまざまな条件が問われる。「特典に応じて搭乗の条件を変えているというのが、航空会社の現実です」とロットラーは言う。

航空会社の懐を潤す「特典制度」

この特典制度は航空会社にとって、本業以外のビジネスを行ううえで、極めて重要なものだ。銀行などと提携したクレジットカードを活用してお金を稼いだり、常連の顧客に見返りを与えたり、優先搭乗させる代わりに航空券の価格を上げたりできる。快適な空の旅を提供する自信がなければ、航空会社は乗客に特典などを使わせてお金を稼ぐという手もあるのだ。

手っ取り早く搭乗までの時間を短縮するなら、無料で手荷物を預けられるようにすればいい。そうすれば、乗客は荷棚に収まらないほど大きなキャリーに荷物をすべてを詰め込まなくてすむ。

完璧なアイデアに聞こえる。だが、米国の航空会社は2016年、受託手荷物の料金だけで42億ドル稼いでいたことを思い出したら、どうだろうか。

航空会社にとって、問題はいかに早く乗客を搭乗させるかではない。乗客から追加荷物の料金をとり、常連客を囲い込み、特典制度をはじめとするすべてのシステムを維持したうえで、いかにはやく乗客を搭乗させるかなのだ。

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