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フィギュアスケートの「5回転ジャンプ」は本当に可能なのか その難易度を専門家が力学的に考察

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フィギュアスケートの「5回転ジャンプ」は本当に可能なのか その難易度を専門家が力学的に考察

フィギュアのジャンプはそれほど高くはなく、4回転を飛ぶ男性スケーターでも18インチ(45.72cm)を超えることはほとんどない(これに比べて、NBA選手の多くは直立姿勢で30インチを超えるジャンプができる)。理由はスケート靴が重いということもあるが、フィギュアスケーターは回転に使うエネルギーとジャンプのエネルギーのバランスを取っているからだ。フィギュアのジャンプでは、わずか3分の2秒という滞空時間内に回転を終えなければならない。

4回転ジャンプの成功には平均して約340rpm(回転/分)の速度が必要とされるが、ピーク時の回転速度はこれより80~100rpm程度高い。ジャンプして空中に浮いた瞬間から、腕を体に巻き付け脚を閉じることで体重を回転軸に近づけ、慣性モーメント(「回転しにくさ」のことだ)をできるだけ減らす。スケーターの角運動量は同じなので、速度は400rpmを超えるところまで上昇する(ちなみに一般的な調理用ミキサーの回転速度は、一番速い設定で255rpmだ)。

しかし、空中で5回転するには回転速度をさらに上げる必要があり、リチャーズはこれは不可能だと考えている。「4回転ジャンプでは腕は体のほぼ正面に来ていますが、これは選手が回転速度を最大に引き出せる姿勢です。つまり、回転速度を上げるためにこれ以上できることはありません」

リチャーズは4回転ジャンプの平均回転速度は約400rpmで、ピーク時では500rpmに近い速度が必要だと指摘する。「わたしたちの実験では430~440rpmが最高です。したがって、少なくとも何らかの補助がなければ、近い将来に5回転ジャンプが実現するとは思えません」。なお『ニューヨーク・タイムズ』によると、チェンの回転速度は440rpmにわずかに及ばない程度だという。

「補助」なしでも5回転は可能か?

ここでいう「補助」とは何が考えられるのだろう。例えば、スラップスケートのようにブレードが靴本体に完全に固定されていないスケート靴を使えば、より自由な動きができ、力強い踏み切りが可能になる。

おもりの入った手袋で回転速度を上げることも考えられる。踏み切りで腕を広げて回転軸から離れた位置に重さを加え、飛んだ瞬間に腕を体の正面で折り曲げれば、通常より速い回転速度が得られる。

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