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「ググる」という動詞はこうして一般化した その誕生とグーグルが支配する情報世界ができるまで

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「ググる」という動詞はこうして一般化した その誕生とグーグルが支配する情報世界ができるまで

永遠に失われた「美しき世界」

まったくいい商売ではないか。わたしたちはいったいどうして、非常に限定された一連の視覚的記号的データ(言葉、数字、なんの変哲もない普通の画像)が「世界の情報」のすべてだと信じるようになったのだろう?

何かの味や匂いや感触をググることはできないし、音の検索はできてもそれほど優れたものではない。グーグルは人間の五感のうちたった2つを制御することで、わたしたちにそれが世界のすべてだと教え込もうとしている。

中国の検索エンジン「百度(バイドゥ)」には検閲はあるにせよ、名前はよっぽどましだ。百度という名前は宋の詩人である辛棄疾の『青玉案・元夕』という作品に由来する。

これは元宵節という季節の行事を巡るもので、人々はこの日、着飾って提灯を持ち夜の街に繰り出す。詩の最後の行は「衆裏尋他千百度 驀然回首 那人卻在 燈火闌珊處」(人混みのなかで何度もその人を探し回った。ふと振り向くとぼんやりと消えゆく明かりの下に彼女が立っていた)というものだ。

百度のウェブサイトには、自社の社名は「混沌としたきらびやかな世界のなかで消えかけている美を探し出す」ことを喚起するとある。

「世界の情報の体系化」は実に野心的だ。一方で、「きらびやかな世界にあって消えゆく美を探求する」なら、古き時代のインターネットにあったロマンスを思い起こさせないだろうか。

しかし、わたしたちはそのロマンスを体系化し、ググり、消し去ってしまった。かつて期待をもって探した美は、永遠に失われてしまったのだ。

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