産経ニュース

テスラの「半自動運転」はなぜ消防車への追突事故を起こしたのか 見えてきた自動運転技術の課題と限界

WIRED WIRED

記事詳細

更新


テスラの「半自動運転」はなぜ消防車への追突事故を起こしたのか 見えてきた自動運転技術の課題と限界

ボルボの半自動運転システム「パイロット・アシスト」にも同様の“弱点”がある。例えば、ボルボ車の前を走るクルマが車線変更をしたり道からそれたりして、ボルボ車と停車中のクルマとの間にさえぎる物が何もなくなったような場合である。

「目標車両が移動中の車両から静止車両に変わった場合には、Pilot Assist は静止している車両を無視して、設定されている速度まで加速します」と、ボルボのマニュアルにはある。「運転者は注意を怠らず、必要に応じてブレーキをかけてください」

つまりボルボ車は、目の前に急に現れた停止車両を避けるためブレーキをかけないかもしれないのである。むしろ、それに向かって加速する可能性すらある。これはアダプティブクルーズコントロール(ACC=先行車に追随して車間距離を保つ定速走行機能)や衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ機能)が備わっている、あらゆるクルマについても同じことが言える。

制止する物体を「無視」する設計

急いで対処すべき明らかな欠陥のように聞こえるかもしれないが、それは違う。これらのシステムは、そもそも静止している障害物を無視するようにデザインされているからだ。というのも、そうしなければシステム自体がまったく機能しないからである。

「あまり必要のないときにブレーキをかけることと、必要なときにブレーキをかけないことと、この両者のバランスを常にとらなければなりません」。このように説明するのは、運転支援技術と自律走行車の開発のためにボルボとオートリブが共同設立したZenuityで新技術部門を統括する、エリック・コーリンである。

彼が指摘しているのは、誤検知(フォールスポジティヴ)の可能性についてだ。高速道路で必要なく急ブレーキをかけることは、必要なときに止まらないことと同じぐらい危険になりうる。

「安全のために選ぶべき唯一の選択肢は、動かないことです」と、カリフォルニア工科大学のアーロン・エイムスは言う。そうは言っても、運転時にはあまりあてにならないだろう。「何に注意して何に注意しないのかについて、合理的に想定しなければなりません」

カーネギーメロン大学で自動運転を研究するラジ・ラジクマーは、これらがテスラ車の主要なセンサーとも関係してくると指摘する。「テスラ車で使われているレーダーは明らかに、(ACC全般がそうであるように)動く物体の検知を前提にしたものです。静止した物体を検知することは苦手だと思います」と彼は語る。

続きを読む

このニュースの写真

  • テスラの「半自動運転」はなぜ消防車への追突事故を起こしたのか 見えてきた自動運転技術の課題と限界