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南極の巨大氷河が急速に解けている理由は気温上昇だけではない その原因は「西風」にあった

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南極の巨大氷河が急速に解けている理由は気温上昇だけではない その原因は「西風」にあった

研究チームは海洋風の記録と、近くに浮かせたセンサーから得られた水温および塩分のストリーミングデータを衛星画像と比較することにより、トッテン氷河地点のサーモクラインを長期にわたって追跡した。その結果、西からの風が強いときは、温度の高い水が勢いよく氷河に流れ込むことがわかった。風が東から吹くと、サーモクラインが再び沈み込み、融解は止まった。

「地球温暖化による海面上昇が空気を直接温めて上から氷河を融かすだけでなく、風によって海の各所で熱が移動するだけで氷河が下から解けることもあるというのは、実に興味深いものです」と、テキサス大学に在籍する科学研究員で、今回の研究のリーダーを務めたチャド・グリーンは述べる。

「一方で、この発見には絶望的な、この世の終わりを感じさせる要素もあります」。グリーンがこのように述べるのは、東南極大陸の沿岸に沿って吹きつける西風が、今後100年にわたってかなり強くなると予想されているからだ。

米国大気宇宙センターのシニアサイエンティストであるジェラルド・ミールによると、温室効果ガスの濃度が高くなることによって気温全体が上昇しているだけでなく、南極上空を巡る西風帯が変化し、強くなっているというのだ。「今後の気象予想では、南極振動(南極上空にできる大規模な気流の渦)の正の相がさらに強力になることが示されています。つまり、海面の西風がさらに強くなり、現在より南方で発生するということです。その結果、これらの風が南極に近づいてより多くの氷を解かし、さらに大きな海面上昇をもたらす構図が続くのです」

しかも、解ける氷の増加は、わずかどころか大量だ。これは南極特有の地形上の特徴によるものである。大陸の南端にある岩盤は、沿岸部から内陸部に進むにつれて、山のように上り坂にはなっていない。下り坂であり、場所によっては、海水面から最大で数km落ち込んでいることもある。つまり、侵入した水はすぐに坂を下り落ちてさらに内陸の奥深くまでしみ込み、これまでになく巨大な氷の塊が、より速く海に流れ出すことになる。

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