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NASAは人工知能で「月の地図」をつくっている 宇宙で民間技術が飛躍する理由

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NASAは人工知能で「月の地図」をつくっている 宇宙で民間技術が飛躍する理由

研究結果はすべてオープンソースに

なぜFDLはここまでの成果を出せるのか。それはFDLが官民パートナーシップ(PPP)のもと立ち上げられたプログラムだからだとジェニングスは言う。

「PPPのおかげで、NASAは民間セクターやアカデミアの研究者たちをリサーチャーたちのサポート役としてプログラムに迎えたり、IBMやIntel、Nvidiaといった提携企業のツールを利用したりできるようになりました。NASAがもっているデータやノウハウ、そして民間セクターやアカデミアがもっているツールや知識を組み合せることができるのは、彼らとのパートナーシップがあってこそのことなのです」

「AIの宇宙利用を研究している団体はいくつもありますし、この分野に新規参入してくる企業や団体も増えています。同じ研究をしている組織が多いなかでFDLがユニークなのは、われわれが非常にインターディシプリナリーであること、そしてNASAと民間セクターとのパートナーシップがあることです」

さらにFDLは、研究結果をすべてオープンソースにしている。「すべてのコードはGitHubに載せられているので、誰でも利用することができます。スタートアップでも、シチズンサイエンティストでも」とジェニングスは言う。

17年に開催された、NASA Frontier Development Lab、開発ブートキャンプの様子。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA FRONTIER DEVELOPMENT LAB

FDLのプログラムに参加した研究者が、オープンソースであることを利用して研究を続ける例もある。

「以前『小惑星3D形状モデリング』のチームに、海洋探査を専門とする研究者を採用したことがあります。海洋探査の知識が、惑星の3Dモデリングに応用できると考えたからです。彼女はFDLのプログラム内で開発した3Dモデリングのアルゴリズムを、今度はサンゴ礁の3Dモデリングに応用する研究を行っています」。宇宙での利用を目的としたAI研究が、地球の問題解決に応用されることだって、十分にあり得るのだ。

幅広く応用可能な宇宙×AIの研究。そこにビジネスチャンスを見出す民間企業も増えている。「実は初年度は民間とのパートナーシップはあまり多くなかったのですが、2年目は12の企業・団体とパートナーシップが組まれました。回を重ねるにつれ、民間セクターからの注目も高まっているように感じます」

ジェニングスは、いまAIの宇宙利用を推し進めることに大きな意味があると考えている。「いま新たな人工衛星や探査機が次々と打ち上げられています。そこから生まれるのは大量のデータです。これを処理し、有効活用する手段として、宇宙でのAI活用にはまだまだ知らない大きなポテンシャルがあると思っています」

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