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凶悪犯罪者の脳を解剖することで、脳科学は「事件の謎」を解明できるのか

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凶悪犯罪者の脳を解剖することで、脳科学は「事件の謎」を解明できるのか

解剖の次に取り組むべきこと

「犯罪者の脳に一貫した差異があるという説にわたしは懐疑的ですが、もしそうだとしたら、その脳構造の違いがなぜ犯罪行動につながるのかを解明するのが次のステップでしょう。そうすれば、いずれは人々を救うのに役立つ知見が得られるかもしれません」と、コッホは言う。

言うまでもなく、子どもたちが犯罪に走らないようにする方法なら、すでにある程度は社会に認識されている、とコッホは指摘する。質の高い教育や適切な栄養、暴力やストレスへの曝露の抑制などだ。

そう考えてくると、スティーヴン・パドックの脳の謎は、より深い問題を提起するものとなる。人々は彼の(身体であり、機械であり、物質である)脳のなかに、凶行の原因を見出そうとする。彼らが探しているのは、心の物理的実体である。なぜなら、物理的な脳のなかに原因が存在しないなら、ほかの何かのせいにするしかないからだ。例えば、なんらかの隠れた要因が、正気だった人間を狂気の犯行に駆り立てたという理由や、狂気を内に秘めた人間が大量の殺人兵器を容易に入手できるせいだという理由である。

スタンフォード大学のヴォーゲル博士がパドックの脳に腫瘍や疾患を発見できなければ、彼の問題は病理学的なものではなく、心理的、あるいは社会的問題ということになる。だとしたらわたしたちの社会は、その解決に取り組まなければならないはずだ。

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