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凶悪犯罪者の脳を解剖することで、脳科学は「事件の謎」を解明できるのか

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凶悪犯罪者の脳を解剖することで、脳科学は「事件の謎」を解明できるのか

立ちはだかる「心身問題」

だが、腫瘍や変性疾患は決して珍しいものではないし、発症者のほとんどは邪悪な殺人鬼にはならない。「大量殺人犯の脳を見て、犯行との関連がわかったり、意味のある発見ができたとしたら驚きです」と語るのは、アレン脳科学研究所の代表兼主幹研究員、クリストフ・コッホだ。「おそらく、パドックの脳はごく普通のものでしょう」

これは要するに「心身問題」、すなわち科学や哲学が誕生してからずっと人々を悩ませ続けてきた、あの難題だ。一方には身体的側面、すわなち電気化学的なネットワークで計算処理を行う数十億のニューロンとその他の組織がある。そして他方には精神的側面、すなわち感覚入力の知覚やその脳内での再構成、再構成された情報を理解可能にする処理、さらにはその処理の一部についての自覚、言い換えれば意識がある。

神経科学者たちは、いまやヒトの脳について、そして脳が生み出す心について、多くの知見をもっている。アレン研究所などの研究者たちは、ニューロンのつながりのマッピングに取り組んでいる。ヒトの脳内にインターフェース装置を埋め込み、車椅子の操作やピアノ演奏をさせることも可能になった[日本語版記事]。

脳活動に機械学習アルゴリズムをあてはめることで、実験参加者にfMRI装置内で画像を何時間も見せたあと、神経活動の変化をもとに、その画像をコンピューターで復元[日本語版記事]することさえできる。これは事実上、心を読めるということだ。

しかも、それは視覚入力に限った話ではない。同じアルゴリズムを使って、他者がどう「感じて」いるかもわかるのだ。あの花はきれい? あのクルマはかっこいい? どっちのドレスが似合う? 「現段階でそれができないと考える理由はありません。すでに誰かがやっているかもしれません」と、コッホは述べる。

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