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糖質をとると、がんの原因に? 話題を呼んだ研究の「本当の中身」

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糖質をとると、がんの原因に? 話題を呼んだ研究の「本当の中身」

実験室で培養された菌による結果を、ヒトに安直にあてはめたがる傾向は、栄養学の分野で特に顕著だ。食生活の研究が一般受けするのは、シンプルな答えを授けてくれるからである。

「脂肪や炭水化物をカットしなさい、2日ほど断食しなさい、ネアンデルタール人が食べていたものだけを食べなさい」。混乱を極める世界のなか、こうした言葉は節制の効果をうたう。

だが、ティーヴリンは臨床医ではないし、今回の研究は食生活に関するアドヴァイスのために行われたわけでもない。彼らは分子生物学者で、ワールブルク効果と呼ばれる現象のメカニズムを解明しようとしていたのだ。

鍵を握るのは、がん細胞の「発酵作用」

がん細胞は通常の細胞と異なり、食料がないときに資源を節約するための内的フィードバックループをもたない。いわばクッキーモンスターである。周囲の血中にブドウ糖があれば、がん細胞は貪欲にそれらを食べ尽くす。

しかも、ブドウ糖をより小さな単位に分解する際、健康な細胞はふつう呼吸作用を利用するのに対し、がん細胞は発酵作用を利用する。こうして急速にエネルギーを獲得することで、がん細胞は増殖し、がんがあっというまに大きくなるのだ。

発酵ががんの原因なのか、それとも症状なのかについては、いまだに議論が続いている。それを解明しようと、ティーヴリンは9年ほど前から、出芽酵母(学名:Saccaromyces cerevisiae)の変異株でいっぱいの培養皿や試験管をのぞき込んできたのだ。

彼らの発見によれば、ブドウ糖がある決まった濃度のときに活性化するRasと呼ばれる遺伝子があり、この遺伝子は酵母細胞でも哺乳類細胞でも、細胞成長の制御に主要な役割を担っている。Ras遺伝子の活性化により、発酵が過剰促進されたがん細胞は、周囲のブドウ糖を食べ尽くし、異常な速度で成長するのだ。

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