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北朝鮮にハッキングできたとしても、「ミサイル」までは止められないかもしれない

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北朝鮮にハッキングできたとしても、「ミサイル」までは止められないかもしれない

ヒッキーは自分はNSAのために働いているわけではないと断ったうえで、「わたしにできることはNSAにもできる」と話す。また、システムへの侵入を請け負うイタリア企業Hacking Teamが、販売目的で赤い星の複数のセキュリティーホールを公表したこともある

しかし、ミシガン大学のセキュリティー研究者で、北朝鮮の大学で教えるために同国に数カ月にわたって滞在した経験をもつウィル・スコットは、北朝鮮政府は自国のイントラネットへの外部からの接続に非常に慎重だと指摘する。科学技術展示場から平壌の金日成総合大学の図書館まで、赤い星はさまざまな場所で利用されていたが、北朝鮮のコンピューターが“ネット”に接続される場合は常にイントラネットかインターネットのどちらかで、両方一緒に接続することは絶対になかったという。スコットは、ミサイルシステムのような最も機密性の高いシステムは、おそらくインターネットにもイントラネットにも繋がっておらず、国外の業者が作った特注のソフトウェアで稼働していると推測する。

リスクの高いオペレーション

このような外部ネットワークからの厳密な切断が意味するのは、攻撃が成功するためには(そして特に、作戦の成否を確認するためには)、目標となるシステムに手動で妨害工作を行う人員が必要となるということだ。「ネットワーク自体が完全に隔絶されているため、誰かに実際に動いてもらわなければならない。外的なハッキングを仕掛けるよりも、その誰かと関係性を構築するというところに行き着くだろう」

ブッシュ政権ではサイバーインフラ担当の政府高官だったヒーリーは、北朝鮮の軍事施設の中心に工作員を送り込むことは簡単ではないと話す。また、仮に月探査ロケットの打ち上げのように複雑なその破壊工作が成功したとしても、意図した効果を得られないとの懸念もあるという。北朝鮮は自身の核ミサイル能力が脅かされていると感じた場合、先制攻撃に出る可能性がある。つまり、「計算が狂うかもしれない」のだ。

これらすべてが意味するのは、NSAや米サイバー軍のスキルをもってしても、北朝鮮の核兵器をめぐる問題解決は期待できないということである。世界で最悪の政権との外交交渉は魅力的には見えないかもしれないが、窮地に立つ孤立した反社会的な国家に対峙しなければならないとき、神頼みのハッキング攻撃よりはまだましな選択肢かもしれない。

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