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探査機が教えてくれる、ぼくらが知らない太陽系の物語

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探査機が教えてくれる、ぼくらが知らない太陽系の物語

 地球を離れ、時には何年もの時間をかけて目的地を目指す、宇宙探査機。その目的は、惑星の地表調査から太陽系の起源の解明、そして地球外生命体の探査など実にさまざまだ。現在20機以上の探査機がミッションを遂行しており、地球からの観測では得ることができない貴重なデータを研究者に届けている。

 なかでも、1977年に打ち上げられた惑星探査機「ボイジャー」は2012年に太陽系を脱出してもなお、片道18時間以上の時間をかけてデータを地球に送り続けている[日本語版記事]。また、つい最近では、土星探査機「カッシーニ」が20年間続いたミッションに終止符を打った[日本語版記事]。

 今回は、ここ2週間の間に米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)によって新たに公開された画像のなかから、特に発見が詰まった4枚をピックアップした。

4枚の「発見」

 2006年に太陽系の縁を目指して打ち上げられた、NASAの無人探査機『ニュー・ホライズンズ』。2015年7月に冥王星に最接近したとき[日本語版記事]、科学者たちはその準惑星の地表に広がる驚くほど多様な地形を目にした。上記ギャラリーの1枚目の画像からは、冥王星特有の地質のひとつである、剣状の地形が確認できる

 最新の研究によると、これらはメタンの氷によって形成されており、高さは超高層ビルほどあるという。その高度では、冥王星の大気中のメタンは氷となり、気温が少し暖かくなると、液体化を通し越して一気に蒸発する。この繰り返しが、数百万年もの時間をかけて剣状の地形をつくり上げてきたのだ。地球上でも、「ペニテンテス」と呼ばれる似た形成物がアンデス山脈などの高地で確認されているが、その高さはせいぜい数mでしかない。今回の研究結果から、冥王星の気候は予想以上に変動が激しいことが明らかになった。

 2枚目の画像が映し出すのは、火星の南半球で発見された直径48kmの無名のクレーターだ。画像の右側が北を向いている。内部には、細かい三日月型の模様が広がる「バルハン砂丘」と呼ばれる地形が確認できる。風のないところに砂丘は生まれない。砂丘の位置と個々の「三日月」の向きから、この地域は南東からの風の影響を受けているのだろう。砂丘が赤黒く見えるのは、付近の火山地帯から風で飛ばされてきた「玄武岩」と呼ばれる火山岩が源と推測される。画像は、ESAの火星探査機『マーズ・エクスプレス』に搭載された高解像度ステレオカメラによって撮影された。

 続いて3枚目の画像に映るのは、火星の衛星「フォボス」の赤外線画像だ。NASAの火星探査機「2001マーズ・オデッセイ」に搭載された熱放射撮像カメラ(THEMIS)によって撮影された。これまで、THEMISは火星に向けられていたが、今回初めてフォボスを対象とした撮影を行った。画像に映るフォボスの左側が夜明け、右側は朝日に照らされている。今後も地表温度を継続的に記録することで、地表の性質も導き出すことができるという。暑い砂浜を歩けばわかるように、砂は熱しやすく冷めやすい。つまり、フォボスの地表温度も変動が激しければ、岩石より砂に覆われている可能性が高いということになる。

 最後の画像が見せてくれるのは、冒頭でも紹介した土星探査機「カッシーニ」が撮影した、土星の夜。地球は土星より太陽に近い位置にあるため、ぼくらに見える土星は常に昼間の姿だ。普段見かけるクリーム色の土星とは違い、異様な静けさをまとっている。この画像は、土星から約120万km離れた位置から、カッシーニに搭載された広角カメラによって可視光で撮影。土星の周回軌道を回っていたカッシーニからは、地球上のどの望遠鏡からも観察することができない土星が見えていたのだ。

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