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アップルも中国政府の圧力に屈服、VPNアプリを削除 米テック業界の“巨人”たちに追随した理由とは

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アップルも中国政府の圧力に屈服、VPNアプリを削除 米テック業界の“巨人”たちに追随した理由とは

一方、中国政府に従ったとしても、成功が保証されるわけではない。中国は検閲を受け入れた者に対してもタフな市場だ。リンクトインの中国法人の前社長であるデレク・シェン(沈博陽)は6月、同国での業績不振を理由に辞任した。売上目標の未達と新規ユーザーの開拓がうまくいかなかったことが一因とされる。また10年には、グーグルが検閲やセキュリティ上の問題を理由に中国本土からの撤退を明らかにしている。

問題は検閲だけではない。米企業はいまや、中国企業との競争を余儀なくされている。アップルは華為技術(ファーウェイ)やOppoをはじめとする中国企業を相手に苦戦してきた。Uberは最終的に中国事業を手放したが、その前に同業の滴滴出行(ディディチューシン)と熾烈な争いを繰り広げた。ネットに関していえば、中国人ユーザーたちは必ずしも検閲を乗り越えて外国のサイトにアクセスしたいと望んでいるわけではない。大半はWeChat(微信)のような国内で絶大な人気を誇るサービスで満足している。

情報を完全に止めることはできない

それでも、米企業は中国市場への挑戦を諦めはしないだろう。フェイスブックはかなり以前から、中国進出の機会をうかがってきた。同国がフェイスブック傘下のメッセージングサーヴィス「WhatsApp」を一時的に利用禁止にしたことを考えれば、意外に思えるかもしれない。しかし、マーク・ザッカーバーグは最後までやり抜く気でいるようだ。

同社は中国政府の承認を得るため、検閲ツールの開発に取り組んでいると報じられている。自己検閲を受け入れた場合に起こる世間からの反発というリスクを、フェイスブックは冒さないだろうというのが一般的な見方だが、果たして本当にそうだろうか。ほかの企業は一時的には批判を受けたが、結局はうやむやになってしまった。フェイスブックも例外ではないだろう。

アップルもそうだ。中国では思うような業績を出せないかもしれないが、仮にそうなったとしても、それは今回の倫理的決定が引き起こした結果ではない。ましてや、中国のネット市場の不振を意味するわけでもない。

政府がどれだけ検閲を強化しようが、情報を完全に止めることはできない。ひとつの回避ツールが禁止されれば、また別のものが出てくる。検閲対象になった言葉は、別の単語に言い換えるだけだ。

インターネットの普及は、中国における表現の余地を拡大するだろう。それは必ずしも、中国市場への足がかりを得るためならどんな犠牲も厭わない、米国企業のおかげというわけではない。

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