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慢性的な睡眠不足によって、脳は「自己破壊」する:研究結果

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慢性的な睡眠不足によって、脳は「自己破壊」する:研究結果

ミクログリアは周囲の環境を管理しており、徘徊しながらニューロンの活動をモニターしたり、古くなったり死んだ細胞を食作用によって取り込んだりする。アストロサイトは、不要になったシナプス(ニューロンの接合部分)の剪定、残骸の除去、または接続回路の再形成を行う。

これら一連の作業は主に眠っている間に行われると思われていたが、ベレッシの以前の研究では、眠っているときよりも一時的な睡眠不足のときのほうが、アストロサイト遺伝子が活性化することが確かめられていた。だが脳内環境の乱れや炎症反応によっても活性化するミクログリアが、睡眠不足によっても活性化されるのかどうかは不明のままだった。

今回の実験では、これらアストロサイトとミクログリアの特性が、さまざまな睡眠/覚醒のパターンでどのような働きをするのかをマウスの脳で調査したものだ。そこで研究チームは、マウスを4つのグループに分けて実験を行った。各グループはマウス6~8匹で構成された。

     安眠グループ:6~7時間きちんと眠っていたグループ

     安眠妨害グループ:眠っている間に何度か起こされ安眠を妨害されたグループ

     睡眠不足グループ:通常よりも8時間以上起きていたグループ

     慢性的睡眠不足グループ:刺激を与えられ4日半起こされていたグループ

睡眠不足で「シナプスが食われる」

マウスの脳におけるアストロサイトの活動は、これら4つのグループで大きく異なっていた。実験の結果、安眠グループのアストロサイト活性が5.7パーセントだったのに対し、安眠妨害グループは7.3パーセント、睡眠不足グループは8.4パーセント、慢性的睡眠不足グループは13.5パーセントと、睡眠が不足するにつれてアストロサイトがより活動的になっていることがわかった。これは寝不足が引き金となってアストロサイトを活性化させ、シナプスの接続やそれらの残骸をより多く分解してしまうことを示唆しているという。

実際に、慢性的睡眠不足グループのマウスのシナプスを調べてみると、よく使われる「ハブ」となっている成熟したシナプスほどアストロサイトの標的となっており、より多くの分解が行われていることがわかった。

覚醒時間の延長に伴い、脳神経活動により蓄積された分子的副産物もまた増加する。研究者らは、アストロサイトの清掃管理機能(もとい食作用)が、より使用頻度の高いシナプスに対応した結果なのではないかと推測している。つまり寝不足が続くと、脳神経同士を繋いでいるシナプスの一部が、アストロサイトに文字通り食われてしまうのである。

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