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最新論文から明らかになった、木星探査の「限界」と「期待」

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最新論文から明らかになった、木星探査の「限界」と「期待」

1機の探査機で、わかるはずがなかった

木星の大気に対して理解が深まると、科学者たちによる地球の特性の解明も進むだろう。ボルトンは木星の赤道付近にあるアンモニアを、地球の赤道の周囲にある熱帯にある大気の帯(バンド)と比較する。「地球に関するわれわれの考えでは、熱帯の大気バンドは、空気と海の相互作用によって形成されます」とボルトンは語る。「木星はそうではありません。だとしたら、なぜ同じように見えるのでしょう? われわれは大気について何か根本的なことを学びつつあるのかもしれません。もしかしたら、地球に関するわれわれの仮定は間違っているのかもしれません」

同様に、地球の磁場に関しても、木星の研究によって理解が深まるかもしれない。地球の磁場は、地殻の奥深くで形成され、鉄鉱床からのラダムな影響があるため、研究するのが難しい。木星には地殻がなく、センサーのデータを乱す余分な磁石もない。「われわれがダイナモ理論(天体が内部の流体運動によって大規模な磁場を生成・維持するという理論)が実際に稼働しているところを見るのは、今回が初めてになるでしょう」とコナーニーは語る。「われわれは木星から始めるべきだったのかもしれません」

こうした発見は、宇宙に関する従来の常識に挑戦する内容だが、従来の研究方法自体についても疑義を提示するものとなっている。通常は、まずプローブ(宇宙探査機)が惑星に送られ、プローブのデータが必要性を示唆する装置を搭載したオービターが追跡調査を行う。「この数十年で形成されてきた、木星などの巨大惑星のしくみに関するわれわれの考えは、単純化されすぎていたのかもしれません」とボルトンは語る。「1基のプローブで惑星全体の正確なサンプリングが行えると考えるのはやめる必要があるのかもしれません」

この問題に対するボルトンの答えが、惑星全体をマップ化するように計画された、多くの観測軌道をもつジュノースタイルのミッションだ。こうしたミッションをさらに展開することが今後も必要なのかもしれない。科学者たちがジュノーミッションの最初の接近観測からこれだけ多くのことを学んだのであれば、次の30回以上の観測がどんな結果をもたらしてくれるのか想像してみてほしい。

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